2025.09.22-
近年、業務の効率化や人手不足への対応策として、RPA(Robotic Process Automation)の導入が国内企業で進んでいます。
企業規模により導入状況や活用方法には違いが見られ、大手企業では全社的な自動化が進む一方、中小企業ではスモールスタートからの導入が増加している状況です。
また、RPAツールの選定においても、企業の規模や業務内容に応じた最適な選択が求められています。
本記事では、国内のRPA市場動向や企業規模別の導入状況、主要RPAツールのシェアランキングをご紹介し、各企業が自社に最適なRPAツールを選定する際の情報を提供していくので、参考にしてください。
目次
RPA(Robotic Process Automation)は、パソコン上で人が行っている定型的な作業をソフトウェアロボットが自動化する技術です。たとえば、Excelへのデータ入力や集計、システム間での情報の転記、定型メールの送信、請求書の作成などを人の代わりに実行します。
ルールに従った繰り返し作業が得意で、業務のスピード向上やミスの削減が期待できます。特別なプログラミングの知識がなくても使えるツールも多く、幅広い業種・部門で活用されています。
RPAは、日本だけでなく世界中で導入が進むグローバルな技術トレンドです。
実際、世界のRPA市場は拡大を続けており、2023年の市場規模は184億1,000万米ドルに達しています。さらに、調査会社Precedence Researchによると、2033年には1,785億5,000万米ドルにまで成長する見込みで、2024年から2033年にかけての年間成長率(CAGR)は25.7%と予測されているようです。
この背景には、業務の自動化によって運用コストを抑えつつ、生産性を向上させたいというニーズが世界中の企業に共通して存在することがあります。特に金融業界、製造業、サービス業など、日々膨大な定型業務を抱える分野での導入が加速しており、RPAはもはや日本だけの流行ではなく、世界的なビジネストレンドとして確立されています。
※出典:Precedence Research(https://www.precedenceresearch.com/robotic-process-automation-market)
国内のRPAツール市場は、今なお拡大を続けています。
矢野経済研究所の調査データ※によると、2019年度の国内RPA市場規模(事業者売上高ベース)は529億7,000万円に達しました。働き方改革の加速や、2020年度以降はコロナ禍による非対面業務への対応も背景にあり、多くの企業が業務自動化を本格的に検討し始めました。
RPA導入のニーズは確実に高まっており、特に属人化した業務の可視化・標準化を目的とした活用が顕著です。人手不足が慢性化する中で、業務の標準化と省力化を同時に実現できるRPAは、効率化だけでなく業務継続性の観点からも注目されています。
さらに、近年のRPAツールには、テンプレートの活用による設計のしやすさや、AIとの連携を活用した機能を備えたものもあり、ツールの進化に伴って活用範囲は広がりつつあります。
RPAは単なる作業の自動化にとどまらず、業務全体の見直しやデジタル化の入口として、多くの企業のDX戦略における重要な技術の一つとなり、一層の発展が期待されています。
※出典:株式会社矢野経済研究所「RPA市場に関する調査(2020年)」(2020年12月7日発表)
※2020年度以降の数値は発表当時の予測値
※国内RPA市場規模は、RPAツール製品(サーバー型、クライアントPC型いずれも含む)とRPA関連サービス(診断サービス、導入支援サービス、業務プロセス自動化サービス、活用業務プロセス改善コンサルティング、運用保守サービスなど)の合算値
前章でも解説したように、業務の自動化ニーズが高まる中で、RPA市場は今後もさらなる成長が期待されています。人手不足への対応やDX推進の一環として、RPAの導入は企業規模を問わず広がりを見せており、技術の進化とともに適用範囲も拡大していくでしょう。
ただ一方で、技術の進化の一つとして、AI(生成AI)の目まぐるしい進化やAIエージェントの登場により「RPAはもう不要では?」という声も一部では聞かれます。
しかし、RPAとAIは競合するものではなく、それぞれの強みを活かして共存・連携できる存在です。
本章では、国内外の動向をふまえながら、RPA市場の今後とその展望について解説します。
ChatGPTをはじめとする生成AIの進化により、「RPAは将来的にAIに取って代わられるのでは?」という疑問を持つ方も増えてきました。確かに、AIの柔軟な対応力や学習能力はめざましく、業務の自動化領域にも広がりを見せているのが現状です。
さらに近年では、「AIエージェント」と呼ばれる技術にも注目が集まっています。これは、使用者の目的に応じて、複数のタスクを自律的に実行することができるAIで、生成AIの応用形として、新たな可能性が期待されています。
とはいえ、RPAにはRPAならではの強みがあり、AIとは異なる役割を担っています。
近年、AIの進化はめざましく、従来では考えられなかった柔軟な対応や自然言語処理が可能になっています。しかし、RPAとAIは現状、それぞれ異なる得意分野を持っており、どちらか一方で代替できるものではありません。
前項でRPA、生成AI、AIエージェントという技術についてご紹介しましたが、現時点において、それぞれ得意分野や使いどころが異なります。それぞれを一緒に働く人材として考えた際に、以下の違いがあるといえます。
ツール | 得意なこと | 不得意なこと | 特徴(注意点) |
RPA | ルーティンワーク、 複数のアプリを横断した作業 |
非ルーティンワーク、 考える仕事 |
指示に忠実だが、 臨機応変な対応はできない |
生成AI | 情報整理、アイデアだし、 プランニング、コーディング |
ルーティンワーク、 複数のアプリを横断した作業 |
発言が正しいかは 毎回確認が必要 |
AIエージェント | 意思決定を必要とする業務、柔軟性の求められるタスク | 正確さが求められる作業 | 速度ではRPAに劣るが、 意思決定や柔軟な対応が可能 |
RPAは、ルール化された定型業務の自動化を得意とします。決まったフォーマットのデータ入力、システム間の情報転記、定期レポートの出力など、人がマニュアル通りに行うような作業を正確かつ高速にこなします。
一方、生成AIは、文章の要約や作成、画像・音声の生成、曖昧な指示への対応など、人間の思考に近い処理が求められる業務に強みを持っています。そして、AIエージェントは、これらを基盤として、複数タスクを自律的に実行する次世代型のAIともいえる存在です。
つまり、RPAはルールベースの作業を、AIは“判断ベース”の作業を担うのが得意分野となっています。たとえば、生成AIであれば、メール文面を作成し、その文面をRPAが自動で送信・記録する、といった連携が可能です。
今後は「RPAかAIか」ではなく、RPAとAIをどう組み合わせて業務を最適化するかが重要なテーマとなるでしょう。両者の特性を理解し、それぞれの強みを活かして使い分けることで、より高度な業務自動化と生産性向上が実現できます。
RPAはAIとの融合によってさらなる進化と拡張が期待されており、今後の成長はますます加速すると見られています。
特に、従来はRPAが対応しきれなかった「人の判断を必要とする業務」にも、AIの活用によって対応可能になるケースが増えているようです。
RPAには現在、「クラス1:定型業務の自動化」「クラス2:より複雑な業務への対応」「クラス3:AIとの連携による意思決定支援」といった進化段階があり、AIとの融合が進むことで、RPAが担う業務の幅が大きく広がると考えられています。自然言語処理や画像認識、予測分析などを組み合わせることで、RPAはより“賢く”、柔軟なツールへと変貌していくと言われています。
クラス | 主な業務範囲 | 具体的な作業範囲や利用技術 |
クラス1 RPA(Robotic Process Automation) |
定型業務の自動化 | ・情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業 |
クラス2 EPA(Enhanced Process Automation) |
一部非定型業務の自動化 | ・RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化 ・自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載 ・非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能 |
クラス3 CA(Cognitive Automation) |
高度な自律化 | ・プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化 ディープラーニングや自然言語処理 |
中堅・大手企業と中小企業では、RPAの導入傾向に違いがあるのが現状です。
株式会社MM総研の調査によると、大手企業では、導入率は2023年度末時点で、44%となっています。RPAの導入が進んでおり、複数部門への展開が可能なスケーラブルなRPAツールが選ばれる傾向にあるでしょう。全社的な業務効率化を目的に、本格的なRPA導入が進められています。
一方、中小企業では導入率が15%と大手企業と比較して低いものの、上昇傾向にあります。
まずはコストを抑えたスモールスタートから導入を検討する企業が多く、限られた業務の自動化から着手する傾向が見られます。大規模展開やAIとのフル連携はハードルが高いものの、今後の成長余地は大きく、業務効率化や人手不足への対応策としてRPAの今後の活用拡大が期待されています。
出典:株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」
RPAは、企業の業務効率化を支える有力なツールとして注目されています。
単純作業の自動化によって、さまざまなメリットが得られるため、業種や企業規模を問わず導入が進められている傾向があります。
本章では、RPA導入によって期待できる代表的なメリットを解説します。
慢性的な人手不足に悩む企業にとって、RPAは有力な対策となります。業務の一部をロボットに任せることで、少ない人員でも業務を回すことが可能となり、採用コストや教育コストの抑制にもつながるでしょう。
また、少子高齢化の影響で労働人口が減少していくことが予想されているため、今後はRPAやAIの活躍が、人手不足への対策として期待されています。
人が作業する場合、ミスはどうしても避けられません。しかし、RPAは事前に設定されたフローに従って処理を行うため、ヒューマンエラーを大幅に削減できます。その結果、業務の正確性が高まり、生産性の向上が期待できるでしょう。
また、RPAやAIは組み込まれたフロー通りに行動してくれます。そのため、作業のばらつきも抑えられ、業務の標準化にもつながります。
24時間稼働可能なRPAを活用すれば、時間に縛られずに大量の処理を高速にこなせます。これにより、処理時間の短縮や業務全体の効率化が進み、継続的な業務改善にもつながるでしょう。
従業員はコア業務に専念できるので、企業や従業員個人の成長を促すきっかけになります。
残業代といった人手にかかるコストを削減できる点も、RPAの大きな魅力です。ミスの減少による修正対応の手間やコストも抑えられ、企業全体のコスト構造を見直すきっかけにもなります。
深夜や早朝など、割り増し料金がかかる時間帯の労働の削減にもつながり、企業のコスト削減に大きく貢献してくれる可能性があります。
RPAの導入により、業務処理のスピードや正確性が向上すると、顧客への対応スピードやサービス品質も向上します。その結果、提供するサービスの信頼性が高まり、顧客満足度の向上につながるでしょう。
また、作業のばらつきが減ることで、一定の品質を安定して提供できるようになり、信頼性の高い企業としての評価にもつながることが期待できます。
企業の業務効率化や人手不足の解消を目的に、RPAの導入が進んでいます。特に中堅・大手企業では、全社的な業務自動化を実現するため、スケーラビリティや拡張性、AIとの連携機能を備えたRPAツールが選ばれる傾向にあるようです。
本章では、株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」のシェアランキングの情報を元に、国内で高いシェアを持つ注目のRPAツールをご紹介し、それぞれの特長や導入メリットを解説します。自社のニーズに合ったRPAツールを選定する際の参考にしてください。
中堅・大手企業でシェア1位に選ばれているのが、「Power Automate」です。Microsoft社が提供するノーコード・ローコード対応の業務自動化プラットフォームで、Microsoft365に含まれているクラウド版の「Power Automate」と、Windows 10以降のユーザーであれば無料で利用できるデスクトップ版の「Power Automate for desktop」の2種類が提供されています。
以下に、両者の違いをまとめました。
ツール名 | 特徴 | 自動化できる業務フロー例 |
Power Automate | クラウドサーバ上での業務を自動化できる | ・添付ファイルをクラウド上のフォルダに自動で保存 ・ファイル保存されたら、メールで保存先を通知 |
Power Automate for desktop | RPA(Power Automate for desktop)をインストールしているPCのデスクトップ上の業務を自動化できる | ・指定のフォルダから決まったファイルをダウンロードし保存 ・Excel上のデータを別のExcelに転記して集計する |
「Power Automate」は、クラウド上で様々な業務フローを自動化することが可能です。
メールの自動返信やファイル追加時の通知など、日常業務の定型作業を自動化し、業務効率化と生産性向上を実現させることが可能です。また、500種類以上のアプリとの接続が可能で、テンプレートも豊富に用意されています。
「Power Automate for desktop」は、PC上のデスクトップ上で行う業務を自動化できるRPAツールです。Excelや、WordなどのPC上で行う作業の自動化が可能です。
この二つを組み合わせることで、全体のフローをより効率化することができます。
Power Automateは直感的な操作でプログラミング知識がなくても利用でき、WordやExcel、TeamsなどのMicrosoft製品に加え、SlackやX(旧Twitter)など外部サービスともスムーズに連携できます。
コストを抑えつつ迅速な業務改善を目指す、Microsoft 365を導入済みの企業にとって、Power Automateは非常に有効な選択肢です。
続いて、中堅・大手企業でシェア2位に選ばれているのが「WinActor」です。
WinActorは、導入社数8,000社以上※の、NTT研究所が開発した純国産RPAツールです。完全日本語対応で、マニュアルや操作画面も使いやすく設計されており、非エンジニアでも直感的に操作できる点が特徴です。
400以上のライブラリやテンプレートを活用し、ExcelやTeams、Google Driveなど幅広いアプリとの連携も可能となっています。また、デスクトップ型・サーバ型の両方に対応しており、小規模から大規模まで柔軟に導入することが可能です。
さらに、導入前後の手厚いサポートや比較的リーズナブルな価格帯も評価されており、業務自動化を進めたい企業にとって心強い選択肢となるRPAツールのひとつです。
※出典:NTTアドバンステクノロジ株式会社 WinActor導入企業8,000社突破のお知らせ
中堅・大手企業シェア3位に選ばれているのが「UiPath」です。UiPathは、ルーマニア発の世界的に有名なRPAツールで、国内外を問わず多くの企業や自治体で導入が進んでいます。GoogleやMicrosoftのAIサービスとも連携でき、高い拡張性と互換性を備えており、個人利用から大規模なロボット管理まで柔軟に対応することが可能です。
直感的な操作が可能な「アクティビティ」と呼ばれる部品を活用することで、複雑な業務でも簡単に自動化できます。また、特定条件下で無料利用できるCommunity Editionの提供により、導入のハードルが低く、関連情報やノウハウも豊富です。海外製ながら日本語サポートも充実しており、安心して利用できる環境が整っています。
上位3つのツールは、拡張性が高い、部署間をまたいだ全社的なフローにも対応できるという点などが評価され、一定の注目を集めていると考えられます。
中小企業におけるRPA導入は、業務効率化や人手不足の解消を目的として注目を集めています。しかし、RPAツールは数が多く、どのツールを導入すれば良いのか迷っている人も多いでしょう。そのような方のために、中小企業における国内RPAツールのシェアランキング※で上位に入っているRPAツールと、それぞれのおすすめポイントをご紹介します。
※出典:株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」
マクロマンは、コクー株式会社が提供する完全無料のデスクトップ型RPAツールで、特に中小企業に適しています。導入コストを気にせず、企業の状況に合わせて柔軟に利用できるのが大きな魅力です。
<主な特長>
完全無料: 利用期間や利用人数の制限がありません。
台数無制限: 対応OSを搭載したPCであれば、何台でもインストール可能です。
クラウドに依存せずローカルファイルの自動化も可能なため、機密情報の漏えいリスクが低く安心して利用できる点も中小企業に評価されているようです。さらに、機能制限も一切なく、有料版への自動移行もないため、初めてRPAを導入する企業でもリスクなく試せるのが魅力となっています。
また、無料ツールでありながら、チャットでのヘルプデスクサービスなどを含む有償のサポートパックも提供されており、導入から運用まで安心して利用できる体制が整っています。
ダウンロード後すぐに使える手軽さや、契約不要で継続的に無料で使える点が、多くの導入実績につながっているのでしょう。コストをできる限り抑えつつ、初めてRPA導入を検討している中小企業にとって魅力的な選択肢といえます。
中堅・大手企業のシェアランキングの章でもご紹介した、Power Automateが、中小企業でも上位に入ってきています。
ノーコード・ローコード対応のため、専門知識がなくても直感的な操作で誰でも自動化フローを作成できます。
あらかじめ用意されたテンプレートを活用することで、短時間で効率的な業務自動化が可能です。
また、デスクトップ版のPower Automate for desktopはWindows10以降のユーザーであれば、無料で利用できるため、初期費用を抑えてRPAツールを利用してみたい人にはおすすめとなっています。
中小企業にとってはコストを抑えながら業務効率を大きく向上できる点が高く評価されているようです。
Autoジョブ名人は、プログラミング未経験者でも扱いやすいと評価されている国産RPAツールです。これまで1,300社以上※で導入され、多くのユーザーから安定性と使いやすさが高く支持されています。
タグ指定による高精度な操作対象の認識、エラー通知や業務カレンダーなどの運用機能により、安定稼働を実現します。最新バージョンでは、スクリプト編集にフロー型UIを採用し、より直感的な操作が可能です。
さらに、名人マーケットの標準化スクリプトやEラーニング、専任プランナーによる支援を通じて、短期間で業務効率化を実感できます。開発版・実行版の併用や成功計画「サクセスプラン」によって、業務自動化を確実に推進できる体制が整えられているのも嬉しいポイントです。導入後も安心して活用できる点が、多くの企業から支持されている理由といえるでしょう。
※出典:ユーザックシステム株式会社
ここまで紹介してきたRPAツール以外にも、中小企業でシェアを伸ばしているツールがあります。中小企業で使い勝手が良いと人気を伸ばしているツールなので、RPAの導入を検討している人は参考にしてください。
アシロボは、中小企業の現場で誰でも簡単に使えるよう、操作性と使い勝手に配慮して設計されたRPAツールです。ロボットの作成や管理も直感的な画面でスムーズに行うことができ、実際に業務を担当している従業員が自らシナリオを作成できるため、外注コストの削減にもつながります。
また、自社の専用PCにインストールして使用する形式のため、クラウド型と比べて情報漏えいや停止リスクが低く、安全性の面でも信頼されているのが特長です。さらに、導入サポートや操作説明会、質問対応などの手厚い支援が無償で提供されており、初心者から上級者まで安心して活用できる環境が整っています。
ナビ搭載 業務自動化RPA RKシリーズは、ナビゲーション機能を備えたことで、プログラミングなどの専門知識がなくても簡単に扱えるRPAツールです。現場の社員が自らシナリオを作成して業務を自動化できるため、外部への依頼や他部署の手を煩わせることなく、短期間かつ低コストで導入が可能となっています。
さらに、導入前後を通じて無償で提供される伴走型のサポートも高く評価されており、RPA導入が初めての企業でも安心して取り組めるのが魅力です。初期費用や運用費用もかからない料金体系は、中小企業にとって導入しやすいポイントの一つとなっています。
海外では日本に先駆けてRPAの活用が進んでおり、業務の自動化が広く浸透しています。こうした中、国内でも近年は導入が本格化し、多くの企業が業務効率化に取り組み始めました。一方、グローバル市場、特に北米やヨーロッパ、アジア太平洋地域に目を向けるとで、多国籍企業や官公庁などを中心に、機能性や拡張性、そしてAIとの連携力を重視したツールが高く評価されています。
本章では、海外で高いシェア率と人気を誇る主要RPAツールをご紹介し、それぞれの特徴について解説します。
本記事の「中堅・大手企業 RPAツール日本国内シェアランキング」でもご紹介した、UiPathは、世界でも高いシェアを誇るRPAツールです。Windows PC上の操作を幅広く自動化でき、ヒューマンエラーの削減や業務効率化に貢献します。無料で使えるCommunityライセンスや、60日間試せる有償ライセンスも用意されており、導入前に十分な検証が可能です。
さらに、ロボットの一元管理を行うOrchestratorや、自動化アイデアの可視化・評価を行うAutomation Hubなど、企業全体での運用を見据えた支援ツールが充実しており、大規模展開にも対応できます。こうした高い拡張性と運用支援体制により、複数拠点を持つグローバル企業にも適しており、導入のしやすさと管理のしやすさが評価され世界中で選ばれているのが特長です。
Power Automateは、日本でのシェア上位に入る人気のツールですが、世界的にも導入が進んでいます。
最大の特徴は、Microsoft 365とシームレスに連携ができる点にあり、Excelや、Teams、SharePointなど、既存のMicrosoft製品との親和性が支持されています。
プログラミング知識が無くても直感的な操作で作成できるUI設計も高く評価されているポイントのひとつです。さらに、グローバルで整備されたサポート体制があることで、海外に拠点を持つ企業や多国籍企業にとっても安心して導入・運用できる環境が整っています。
Automation Anywhereは、直感的な操作性とAIによる高度な自動化機能を兼ね備えたグローバルで人気の高いRPAツールです。AIが業務内容を分析し、影響の大きい業務を自動で特定してBotを生成するため、現場の負担を減らしながら組織全体で効率的に自動化を進められます。
さらに、自己学習機能を持つAIが非構造化データの分類や抽出まで対応し、ドキュメント処理の自動化にも優れているのが特長です。特に、企業における膨大な情報管理を要する場面での効果が高く、工数削減に直結します。
また、Botごとに細かく設定できる強固なセキュリティ対策も特徴で、厳格な要件が求められる企業環境でも安全に活用できるでしょう。こうしたAI活用によるスピーディーな展開力と高いセキュリティ性が評価され、多国籍企業やDXに積極的な海外企業で広く採用されています。
Blue Prismは、高度なインテリジェントオートメーションを実現し、企業の業務効率化を支援するRPAツールです。人とシステムが協業しながら業務プロセスを自動化できる設計が特徴で、現場ごとのニーズに柔軟に対応できます。
ドラッグ&ドロップの簡単操作で自動化フローを構築できるうえ、AIや認知機能によりメンテナンス性にも優れているのが特長です。また、既存のシステムやアプリケーションとの連携がしやすく、全社的な業務自動化を実現できます。
アクセス履歴やログの一元管理も可能で、管理性の高さも魅力です。これらの特長により、セキュリティやガバナンスに厳しい大手企業や公共機関など、信頼性とスケーラビリティを重視する海外企業に選ばれています。柔軟な運用と拡張性の高さが、グローバルでの高評価につながっているのでしょう。
RPAツールは、業務効率化や人的ミスの削減に大きく貢献する一方で、導入後に「思ったように使えない」「自社には合わなかった」と感じるケースも少なくありません。こうした事態を防ぐためには、導入前のツール選定が非常に重要です。この項目では、RPAツールを選ぶ際に確認すべき5つのポイントについて解説します。
RPAツールを業務に組み込むには、既存の基幹システムやクラウドサービスとスムーズに連携できるかどうかが重要です。
特定の環境に依存するツールでは、将来的に業務やシステムが拡張された際に柔軟な対応ができなくなる恐れがあります。
自社のITインフラに適応できる拡張性を備えたツールを選ぶことが、長期的な活用の鍵となるでしょう。
RPAツールは、現場の社員が使いこなせるかどうかが導入成功の分かれ目です。プログラミングの知識がなくても直感的に操作できる画面設計であること、ロボットの作成や管理が視覚的にわかりやすいことが理想となります。誰でも比較的簡単に扱えるユーザーインターフェースを備えているかを事前に確認しておきましょう。
導入前にツールの使用感を確認できる無料トライアルの有無も大きな判断材料です。トライアルを通じて、操作性や対応できる業務範囲、自社業務との適合性を見極めることができます。特に初めてRPAを導入する企業にとっては、実際に試せる環境があるかどうかが安心材料となります。
RPAツールの導入を検討されている人は、まずは無料トライアルで自社に適したツールなのか見極めることが大切です。
自動化する業務には、機密性の高い情報を扱う場合もあるため、ツールのセキュリティレベルは必ず確認すべきです。情報の暗号化、アクセス権限の設定、操作ログの記録など、コンプライアンスに対応した機能が備わっているかをチェックしましょう。特に金融や医療など厳しい業界基準がある場合は、その業界での導入実績も参考になります。
ツールの機能性に加え、導入・運用フェーズにおけるベンダーのサポート体制も選定の重要な要素です。導入前のコンサルティングや、導入後のトラブル対応、教育支援など、自社にとって必要なサポートが受けられるかを確認しておくと安心でしょう。特に中小企業やITリソースが限られている企業では、手厚いサポートがあることで、安心して導入・運用に踏み切ることができます。
適切に業務効率化を図るには、シェア率が高いRPAツールを選ぶだけでなく、上記のような視点から自社に合ったツール選びを行うことが大切です。
まずは無料トライアルなどで、どのようなサービスが提供されているのか試してみましょう。
RPA市場は国内外で着実に成長しており、企業規模に応じた導入率の違いや、各社の導入目的に応じたツール選定が進んでいます。
国内でも高いシェアを持つツールが多数ありますが、シェアが高いからといって必ずしも自社に最適とは限りません。
RPAツールを選ぶ際には、操作性や既存システムとの連携(拡張性)、導入後のサポート体制など、自社の業務環境やリソースに合ったポイントをしっかり確認することが重要です。RPAは導入して終わりではなく、運用・改善を繰り返してこそ効果を発揮します。
RPAツールが気になる人は、まずは無料トライアルで操作性や機能を試してみることもおすすめです。
ヒューマンリソシアでは、RPAツール「WinActor」の無料トライアルを提供しています。
活用して、実際の業務での使い勝手や適合性を確かめ、自社に最適なRPAツールを見極めましょう。
RPA「WinActor」無料トライアル
【よくあるご質問】
Q. 中堅・大手企業と中小企業では、RPAの導入状況に違いがありますか?
A: 中堅・大手企業では、全社的な業務効率化を目的に本格的なRPA導入が進んでおり、2023年度末の導入率は44%※です。
A: 中小企業では、大手企業と比べて導入率は15%※と低いものの、上昇傾向にあります。コストを抑えたスモールスタートでの導入が増加しており、今後も成長が見込まれます。
※出典:株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」
Q. RPAの市場は今後どうなるのでしょうか?
A: 国内外でRPA市場は拡大を続けており、今後もさらなる成長が期待されています。
A: RPAはAIに代替されるのではなく、AIと連携することで業務の適用範囲が広がり、より高度な自動化が可能になると考えられています。
Q. 中堅・大手企業で高いシェアを誇るRPAツールにはどのようなものがありますか?
A: 株式会社MM総研の調査※によると、Power Automate、WinActor、UiPathが上位のシェアを占めています。
A: Power AutomateはMicrosoft製品との連携、WinActorは純国産で手厚いサポート、UiPathは世界的な実績と高い拡張性が強みです。
※出典:株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024」
Q. 中小企業におすすめのRPAツールはありますか?
A: 中小企業では、マクロマンやPower Automate for desktopなど、無料で利用できるツールが人気です。
A: その他に、Autoジョブ名人やアシロボ、RKシリーズ(キーエンス)なども、手厚いサポート体制や使いやすさから人気を伸ばしています。
本コラム内容について
各コラムの内容は、執筆時点での情報を元にしています。
製品バージョンアップなどにより、最新ではない場合がありますので、最新の情報は、各社公式サイトなどを参考にすることをおすすめいたします。
各コラムの内容は、利用することによって生じたあらゆる不利益または損害に対して、
弊社では一切責任を負いかねます。
一つの参考としていただき、利用いただく際は、各社のルール・状況等に則りご活用いただけますと
幸いです。
※「WinActor®」は、NTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
※「UiPath®」は、UiPath社の米国およびその他の国における商標です。
※「Windows」「Microsoft」「Power Automate」「Power Automate for desktop」 は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
※「マクロマン」は、コクー株式会社の登録商標です。
※「アシロボ」はディヴォートソリューション株式会社の登録商標です。
※「Autoジョブ名人」は、ユーザックシステム株式会社の登録商標です。
※「Automation Anywhere®」は、Automation Anywhere, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※「Blue Prism®」は、Blue Prism Limitedの登録商標です。
出典:総務省 RPAに関する資料(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html)
出典:RPA Market Size and Popular Vendors in 2025(https://research.aimultiple.com/rpa-market/?utm_source=chatgpt.com)