RPAの簡単な作り方|シナリオ作成、導入手順・ツール選定方法をご紹介

                                                                                                                                                                                  2025.06.30-          
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業務の自動化を図る手段として注目を集めているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)。
定型的な作業をソフトウェアロボットに任せることで、作業効率の向上や人的ミスの削減を実現します。しかし、初めて導入する場合「どうやってRPAを作ればよいのか」「どのツールを選べばいいのか」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、RPAの基本的な作り方やシナリオ作成のポイント、導入手順、ツール選定の方法について、初心者の方にもわかりやすく解説します。


目次 

 

 

RPAでできることとは

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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、主にパソコン上で行われる定型的な業務を自動化する技術であり、業務効率の向上やコスト削減に大きく貢献します。しかし、実際にどのような業務がRPAで自動化できるのかを正しく理解していないと、導入効果を最大限に引き出すことはできません。

本章では、RPAが得意とする作業の具体例を挙げながら、RPAでできることを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

部門共通(部門関係なく行う)業務


多くの部署で共通して発生する定型業務は、RPA導入による効果が特に高い領域です。これらの業務は、作業内容が繰り返しでルール化しやすく、ロボットによる自動化に適しています。

また、全社的に負担の大きい業務をRPAで効率化することで、従業員全体の生産性向上や人的ミスの削減にもつながるでしょう。部門を問わず共通して行われる代表的な業務については下記の通りです。

  • データ入力、集計・分析
  • 情報収集
  • 問い合わせ対応

これらの業務について、さらに詳しく見ていきましょう。

データ入力、集計・分析

各種システムやExcelへのデータ入力、報告書の作成、数値の集計やグラフ化などは、多くの部署で日常的に発生する業務です。RPAを活用すれば、入力ミスの防止や作業時間の大幅短縮が可能となります。

たとえば、売上データの定期的な集計や、顧客アンケート結果の整理など、単純作業にかかっていた時間を他の業務に充てることができるでしょう。

情報収集

定期的にWebサイトや社内システムから情報を収集する作業も、RPAの得意分野です。価格調査や競合分析、ニュースチェックなど、複数の情報源を巡回して必要なデータを取得し、所定のフォーマットにまとめる作業を自動化できます。

これにより、手作業による漏れや遅れを防ぎ、タイムリーな情報活用が可能です。

問い合わせ対応

社内外からのよくある問い合わせへの対応も、RPAで一部自動化が可能です。FAQに基づいた定型回答の自動送信や、問い合わせ内容の分類・担当者への振り分けといったプロセスをRPAが担うことで、対応時間を短縮し、担当者の負担軽減につながります。

チャットボットと連携することで、より効率的な対応が実現できるでしょう。


人事・総務業務


人事・総務部門では、毎月決まった時期に発生するルーティンワークが多く、正確性やスピードが求められる業務が中心です。こうした業務は、手順が明確で繰り返しが多いため、RPAによる自動化に非常に適しています。

特に作業負担の大きい勤怠管理やデータの照合作業などは、RPAを導入することで大幅な業務効率化とヒューマンエラーの削減が可能です。ここでは、人事・総務部門の代表的な業務である「勤怠管理」に焦点を当て、RPAの活用方法をご紹介します。

勤怠管理

勤怠データの収集・チェック・修正・集計といった一連の業務は、多くの企業で人事・総務・労務部門が担っています。これらの作業は、従業員数が多くなるほど複雑化し、手作業では時間がかかるうえにミスも起こりやすくなるでしょう。

RPAを導入すれば、各種勤怠システムからのデータ取得や、不備のあるデータの抽出、月次の集計作業まで自動化できます。さらに、就業規則に基づくアラート通知の設定なども可能なため、管理精度が向上し、担当者の負担を大幅に軽減できるでしょう。


経理・財務業務


経理・財務部門では、日々多くの書類処理や数値管理業務が発生します。これらの業務は、正確性とスピードが求められる一方で、ルールが明確な定型作業が多いため、RPAによる効率化が非常に有効です。

特に月末・月初に集中する業務負荷を軽減し、ヒューマンエラーを防ぐ手段として、RPAは経理・財務部門の強い味方となります。ここでは、経理業務の中でも頻度が高く、工数の大きい「請求書業務」におけるRPAの活用例をご紹介します。

請求書業務

請求書の発行や受領、内容の確認、会計システムへの入力といった一連の業務は、手作業では時間がかかり、ミスのリスクも伴います。RPAを導入することで、取引先から届いた請求書データを自動で読み取り、金額や取引内容をチェックした上で、会計システムへ自動入力することが可能です。

また、請求書の発行処理についても、基幹システムのデータをもとに帳票を自動作成・送付するプロセスを構築でき、月末の業務負荷を大幅に軽減できます。

 

 

RPAのシナリオとは

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RPAの運用において重要な役割を果たすのが「シナリオ」※です。シナリオとは、ロボットに実行させる業務手順や処理内容をあらかじめ定義した設計図のようなもので、RPAがどのような動きをするかを決定づけます。

※RPAツールによっては「ワークフロー」など別の呼称が使われる場合もありますが、本記事では、業務全体の流れを示す一般的な「ワークフロー」との混同を避けるため、「シナリオ」という用語で統一して解説します。

シナリオの出来栄えによって、RPAの効果や安定性は大きく左右されるため、正確かつ無駄のない設計が求められるでしょう。この章では、RPAシナリオの基本的な考え方や作成時のポイントについて解説します。

シナリオ作りは簡易型と開発型の2種類


RPAのシナリオ作成には、大きく分けて「簡易型」と「開発型」の2種類があります。簡易型は、プログラミングの知識がなくても操作できる点が特徴で、マウス操作や画面上のパーツのドラッグ&ドロップで、直感的にシナリオを作成することが可能です。

業務手順をそのまま記録する「レコーディング機能」を備えたツールも多く、主に定型的でシンプルな業務の自動化に適しています。一方、開発型はより高度な業務や複雑な分岐処理、システム連携など幅広い設計が可能です。

開発型では、変数の定義や条件分岐、ループ処理などの論理的な構造を取り入れることで、柔軟で堅牢なシナリオを構築できますが、ある程度のプログラミング的な思考やITスキルが求められます。自社の業務内容や担当者のスキルを考慮し、最適なタイプを慎重に検討することが不可欠です。

<参考>Pythonを利用したRPAツール作成

RPAツールの多くはノーコード・ローコードで利用できるため、専門的な知識がなくても導入できます。プログラミングスキルがある場合は、Pythonを使って自社の業務に最適化されたRPAツールを構築することも可能です。

Pythonはシンプルで読みやすい構文に加え、豊富なライブラリが用意されているため、画面操作の自動化、ファイル管理、Webスクレイピング、メール送信、データ分析など、さまざまな処理を自由に組み合わせてカスタマイズできます。

既存のRPAツールでは対応が難しい複雑な要件にも柔軟に対応できるため、特定業務に特化した自動化や独自のワークフロー構築を目指す企業にとって有力な選択肢となるでしょう。ただし、PythonによるRPA開発は開発工数や保守負担も伴うため、導入目的やリソースを踏まえて慎重に判断することが重要です。

 

 

RPAのシナリオの作り方

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RPAの導入効果を最大限に引き出すためには、シナリオの作成が非常に重要です。RPAシナリオとは、ロボットにどのような操作をさせるかを定義した手順書のようなものであり、業務内容に応じて正しく設計・実装することで、安定した自動化が実現できます。

本章では、初心者の方でも取り組みやすいように、RPAシナリオの作り方を7つのステップに分けてわかりやすく解説しますので、参考にしてみてください。

1.シナリオの目的を明確にする


最初に行うべきは、「なぜその業務をRPAで自動化するのか」という目的を明確にすることです。業務効率の向上や人的ミスの削減、作業時間の短縮など、期待する成果を具体的に設定することで、その後のシナリオ設計やツール選定にも一貫性を持たせることができます。目的が不明確なまま進めると、導入後に期待する効果が得られない可能性があるため注意が必要です。

2.業務手順を書き出す


自動化対象の業務について、現在どのような手順で処理されているかを一つひとつ丁寧に洗い出します。実際の操作画面や入力データ、使用アプリケーション、処理の流れなどを記録し、人が行っている作業をロボットにそのまま置き換えられるようにすることがポイントです。この段階で業務の無駄や非効率に気づくこともあり、改善のきっかけにもなります。

3.RPAシナリオの設計書を作る


洗い出した業務手順をもとに、RPAシナリオの設計書を作成します。設計書には、処理の順序、使用するアプリケーションやファイル、分岐条件、エラー時の対応方法などを具体的に記載しておきましょう。フローチャートや業務フロー図などを用いることで、視覚的に理解しやすくなり、関係者間の認識合わせもスムーズに進むでしょう。

4.複数人でシナリオ設計書の内容を精査し、ブラッシュアップする


設計書が完成したら、関係者や業務担当者など複数人で内容を確認します。業務フローに抜け漏れがないか、例外処理が適切に考慮されているかをチェックし、必要があれば修正や改善を加えましょう。このプロセスを通じて、実運用に耐えうる高品質なシナリオに仕上げることができます。

5.RPAツールでシナリオを実装する


設計書に基づいて、RPAツール上で実際のシナリオを構築します。簡易型ツールであれば、画面操作を記録する方式やブロックを組み合わせる形式で作成でき、開発型ツールでは変数やループ処理を用いたより高度なシナリオの実装が可能です。実装時には、設計書の内容と相違がないよう、細部まで確認しながら進めます。

6.シナリオをテストする


完成したシナリオは、本番環境に入れる前にテストを行い、想定どおりに動作するかを確認します。通常時の処理はもちろん、入力ミスや例外パターンが発生した場合の挙動もチェックし、必要に応じて修正しましょう。テストを十分に行うことで、本番稼働後のトラブルを未然に防げます。

7.定期的に保守・運用する


RPAは一度作って終わりではありません。業務フローの変更やシステムのアップデートにより、既存のシナリオが使えなくなることもあるため、定期的な見直しとメンテナンスが必要です。シナリオの実行ログを確認し、エラーの発生状況や処理時間を記録することで、継続的な改善につながるでしょう。

 

 

初心者がRPAを簡単に作る為のコツ

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RPAは、日々の定型業務を自動化し、業務効率を大幅に向上させる便利なツールです。しかし、初心者がいきなり複雑なシナリオを作成しようとすると、途中でつまずいてしまうことも少なくありません。RPAをスムーズに導入・活用するためには、基本的な考え方といくつかのコツを押さえておくことが重要です。
本章では、初心者がRPAを簡単に作成・運用するためのポイントを解説します。

RPAの得意、不得意の切り分けに注意する


RPAは繰り返し処理や定型業務の自動化を得意とする一方で、判断が必要な業務や内容が日によって大きく変わる処理は不得意です。業務を自動化する前に、「この作業は本当にRPAに向いているのか?」を見極めることが重要になります。無理に全ての作業を自動化しようとせず、まずは単純でルール化された業務から着手するとスムーズに進められます。

イレギュラー対応には人間が介入する


現実の業務では、例外処理や予期しないエラーがつきものです。RPAは設定された通りにしか動作できないため、イレギュラーなケースには対応できないことがあります。

そのため、全てをRPAで自動化するのではなく、異常発生時には人間が確認・対応できる仕組みをあらかじめ用意しておくことが重要です。完全自動化ではなく、人とRPAの協働を前提に設計しましょう。

操作の簡単なRPAツールを選ぶ


初心者が最初に扱うRPAツールは、操作のわかりやすさが重要です。プログラミング知識がなくても扱えるような、アイコンの配置や直感的なUIが整っているツールを選ぶことで、初期の学習コストを大幅に抑えられます。ドラッグ&ドロップで処理を組み立てられるタイプのツールであれば、誰でも手軽に自動化に挑戦できるでしょう。

簡単な業務からシナリオを作る


RPAを初めて導入する際は、最初から複雑な業務に挑戦するのではなく、単純な処理から始めるのが成功の鍵です。毎朝の定型レポートの作成や、フォルダ内のファイルを整理する作業など、業務フローが明確で変更が少ない作業を選ぶと、シナリオ作成やテストもスムーズに進みます。成功体験を積むことで、自信を持って次のステップに進められるでしょう。

ショートカットキーを活用する


RPAによる画面操作は、マウスよりもキーボードのショートカットキーを利用したほうが、動作が安定しやすくなる場合があります。特にウィンドウの切り替えや保存といった操作では、ショートカットキーの使用が効果的です。ツールの記録機能を使う際にも、ショートカットを使った操作は正確に記録されやすく、トラブルを防ぐ要因となります。

サポートやサンプルの充実したRPAツールを選ぶ


RPAツールを選ぶ際は、製品の使いやすさだけでなく、学習用の資料やサンプルがどれだけ用意されているかも重要です。公式チュートリアルや操作マニュアル、動画解説、ユーザーコミュニティなどが充実していれば、初めての方でも安心して学習・実装に取り組めるでしょう。サポート体制が整っているツールを選ぶことで、問題発生時の対応もスムーズに進められます。

 

 

RPAでのシナリオ作成事例のご紹介

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RPAツールを導入すれば、さまざまな業務の効率化が実現できます。しかし、実際にどのような効果が期待できるのかわからないと、導入に足踏みしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方にむけて、実際にRPAでのシナリオ作成事例をご紹介します。導入内容と実際の効果についてご紹介していくので、参考にしてください。

【医療】診療報酬請求業務


ある医療機関では、RPAツール「WinActor」を活用し、業務負担の大きかった医事関連作業の自動化に成功しています。具体的には、月1,000〜1,500件に及ぶ「二類感染症患者入院診療加算」の医事会計システムへの入力業務を自動化し、月6時間の作業削減を実現しました。

また、COVID-19に関連する公費番号の登録作業も月1,500件あり、こちらも自動化により月7時間の工数削減につながっています。さらに、年1〜2回発生する「材料マスタの削除業務」もRPAで対応し、6時間かかっていた作業をゼロにしました。

特に頻度の高い業務の自動化が優先される傾向にありますが、定期的に発生するボリュームの多い業務も、長期的な効率化を見据えて自動化する価値があります。これらのシナリオは、導入当初の参考事例としても役立ち、スムーズなRPA活用につながりました。

医療現場の人員不足。課題解決に向けたRPA活用術/淀川キリスト教病院
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【製造】支払依頼伝票の起票作業


ある製造会社の経理部では、家賃などの支払依頼伝票を起票する業務をRPAで自動化し、業務効率と精度の向上を実現しました。具体的には、不動産賃借料振込一覧表のデータを会計システム取込用のExcelに転記し、CSV形式で保存、さらに会計システムを自動起動してCSVを取り込む一連の作業を16拠点分対応しています。

この業務は月1回、約230分を要していましたが、年間で2,760分(46時間)の削減となりました。RPAによって拠点ごとの処理方法の違いを解消し、作業の統一化にも成功しています。

また、エラー発生時のメール通知や、他業務にも活用可能な汎用的シナリオの構築といった工夫も取り入れられました。現在は12業務を自動化し、年間232時間の削減を達成。AI-OCRと連携した処理も進めるなど、経理部全体で着実に自動化を推進しています。

“人材育成を意識した”RPA導入の取り組み/カンロ株式会社
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

 

 

RPAベンダーの提供するRPAツール利用を検討しよう

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RPAを導入する際には、RPAベンダーが提供する専用のRPAツールを活用することが一般的です。多くのRPAツールは、プログラミングの知識がなくても直感的な操作でシナリオを作成できるように設計されており、初心者でも扱いやすいのが特徴です。

また、各ツールには対応業務範囲や処理性能、管理機能などに違いがあるため、自社の業務内容や運用体制に応じた選定が重要です。RPAツールには主に「サーバ型」「デスクトップ型」「クラウド型」の3種類があります。それぞれの特性を理解したうえで、自社に最適なRPAツールの導入を検討しましょう。

サーバ型


サーバ型RPAは、企業全体でRPAを集中管理・運用することを前提としたツールです。RPAロボットがサーバ上で稼働するため、複数の業務を同時並行で処理したり、複数部門にまたがる大規模な業務を自動化したりするのに適しています。

シナリオや実行状況の一元管理が可能で、IT部門が中心となって管理するケースが多いのが特徴です。導入や運用には一定のシステム基盤や人的リソースが必要となるため、中〜大規模な企業や複雑な業務プロセスを対象にした自動化に向いています。

デスクトップ型


デスクトップ型RPAは、PCごとにインストールして利用するタイプのRPAツールで、現場の担当者が自分の業務に合わせて手軽に自動化を実施できる点が強みです。導入のハードルが比較的低く、特定の部門や個人単位の業務自動化に向いています。

操作もマウスの動きやキーボード入力を記録するような形式が多く、プログラミング知識がなくても扱いやすい設計なのが特長です。ただし、拠点や担当者が増えると管理が煩雑になるため、一定以上の規模では運用ルールの整備が必要になります。

クラウド型


クラウド型RPAは、インターネットを通じてサービスを利用する形態のRPAツールで、インストール不要で即時利用できる点が魅力です。システム構築の手間が少なく、初期費用を抑えてスモールスタートが可能です。クラウド環境で動作するため、場所を選ばず利用でき、テレワークや外部委託先との連携などにも柔軟に対応できます。

一方で、オンプレミス環境と比べてセキュリティ面での配慮が必要となる場合もあるため、利用規模やデータの扱いに応じた選定が求められるでしょう。

 

 

RPAツール導入の手順

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RPAの導入は、業務の効率化や人為的ミスの削減に大きく貢献します。しかし、効果を最大化するには段階的かつ戦略的な進め方が重要です。この項目では、RPAツール導入を成功させるための基本的なステップをご紹介します。

自社の課題を見極め、業務に合ったシナリオを作成し、テスト運用を経て本格導入するまでのプロセスを順を追って解説していきますので、参考にしてください。

自社の課題を見つける


まずは自社の業務プロセスを見直し、どこに課題があるのかを把握することがスタート地点です。日常業務の中で、「時間がかかっている」「繰り返し作業が多い」「ミスが発生しやすい」といったポイントを洗い出し、改善の必要がある業務を特定します。

RPAは、そうした単純かつ定型的な作業に特に効果を発揮するため、現場の実態に即した課題把握が欠かせません。

RPAの対象業務を決める


課題が見えてきたら、その中からRPAに適した業務を選定します。日々繰り返されるデータ入力や請求処理、定型レポートの作成といった作業は、自動化の対象として非常に適しているでしょう。

業務の性質や頻度、必要な処理時間などを加味し、RPA導入による効果が大きい業務を優先的にピックアップします。

RPAのシナリオを作る


対象業務が決まったら、実際にその業務をRPAでどのように自動化するかを設計します。シナリオとは、業務の流れを定義した操作手順書のようなもので、RPAに「何を、どのように、いつ行うか」を教える役割を果たしてくれるでしょう。

プログラミング不要で作成できるツールも多く、業務担当者が直接シナリオ作成に関わるケースも増えています。

試験的な導入と見直し


シナリオを作成したら、すぐに全社展開せず、小規模な範囲で試験運用を行います。実際にRPAが期待どおりに動作するか、トラブルや例外処理に対応できているかを確認する重要な段階です。試験導入を通じて得られた知見をもとに、シナリオを改善・調整し、より確実で安定した運用を目指します。

本格的な導入


試験運用での検証を経て、問題がなければ本格導入に進みます。対象業務の拡大や他部門への展開を検討しつつ、運用ルールや保守体制も整備しましょう。また、導入後も業務内容の変化に応じてシナリオの見直しや更新が必要です。RPAを継続的に活用するには、定期的な効果検証と改善が鍵となります。

 

 

RPAツールの選定ポイント

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RPAツールを導入する際は、自社の業務内容や人材のスキルに適した製品を選定することが成功の鍵です。現在、多くのRPAツールが市場に出回っており、それぞれ機能や価格帯、操作性などに特徴があります。

導入後の運用や拡張性まで見据えて、適切なツールを選ぶことが重要です。本章では、RPAツール選定時に注目すべきポイントを解説します。

対象業務に対して過不足のない機能のツールを選ぶ


RPAツールは、すべての業務に万能なわけではなく、それぞれ得意とする分野があります。単純なデータ入力に強いツールもあれば、複数のシステムを連携させるような複雑な業務に対応したものもあります。

ツール選定の際には、まず自社で自動化したい業務を明確にし、それに必要な機能が過不足なく備わっているかを確認することが大切です。機能が不足していると目的の自動化が実現できず、逆に過剰な機能は使いこなせないままコストだけがかかる原因となります。

サポートやメンテナンスを考えると有料ツールがおすすめ


無料のRPAツールも存在しますが、業務で継続的に使用することを考えると、サポート体制やメンテナンスの面で不安が残る場合もあります。有料ツールであれば、トラブル発生時のサポート対応や、定期的なバージョンアップ、セキュリティ対策も期待できるでしょう。

また、ベンダーによっては、導入初期に操作方法の研修が用意されていたり、ドキュメントの提供が受けられるなど、安心して運用を開始できる環境が整っている点も大きなメリットです。業務の安定した自動化を目指すなら、サポートの手厚い有料ツールの検討をおすすめします。

ITに関する専門知識がなくても扱えるツールが望ましい


RPAの大きな魅力の一つは、現場の担当者が自ら業務を自動化できる点にあります。そのためには、ITに関する専門知識がなくても扱えるツールであることが望ましいです。ドラッグ&ドロップで操作できるノーコード・ローコード対応のツールは、非エンジニアのスタッフでも直感的にシナリオを作成・修正でき、現場主導での運用が可能になります。誰でも使いやすいツールを選ぶことで、社内の自動化推進がスムーズに進みやすくなるでしょう。

 

 

RPA初心者におすすめの勉強方法

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RPAに興味を持ったばかりの方にとって、どのように学習を始めればよいか迷うこともあるでしょう。
本章では、RPA初心者におすすめの勉強方法を紹介していきます。

  • 書籍を活用して基礎知識を習得する
  • 無料のオンライン講座や動画を視聴する
  • 実際に無料のRPAツールで操作してみる
  • セミナーや体験会に参加して実務に触れる
  • 自分の業務で自動化できそうな作業を探す

書籍で勉強する場合、具体的にどのような本を読めばよいのか知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

WinActor参考書(本)6選!資格取得から基本の使い方までおすすめ本を紹介
記事はこちら

体系的な学びでRPA導入を成功へ


RPAを導入し業務効率化を図る上で、知識の習得は非常に重要です。独学でも基本的な操作や概念を学ぶことは可能ですが、実際に現場で役立つノウハウや導入・運用における注意点まで理解することは難しいでしょう。

研修やeラーニングを活用することで、RPAの基礎から応用、さらにはシナリオ作成の実務スキルまでを段階的に学ぶことができます。特に、導入初期の段階でこうした学習機会を取り入れることで、業務に合った正しいRPAの活用方法を把握でき、失敗や無駄な手戻りが避けられるでしょう。

また、組織全体でのスキルの均一化や、RPA推進に必要な人材の育成にもつながります。

当社では、初心者から実務担当者まで幅広く対応できるRPA研修・eラーニングをご用意しています。受講期間内でご自身のペースで学べるeラーニング講座や、実践に即したハンズオン研修など、目的に応じた学習が可能です。RPA導入を成功に導く一歩として、ぜひご活用ください。

RPA(WinActor)操作研修
詳細はこちら

WinActor eラーニング講座
詳細はこちら

 

 

まとめ

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RPAは、繰り返し発生する定型業務を自動化することで、業務効率化とヒューマンエラーの防止を実現する強力なツールです。
本記事では、初心者でも実践できるRPAの簡単なシナリオ作成方法や、導入手順、ツール選定のポイントについて解説しました。

RPAを効果的に導入するには、まず自社の課題を明確にし、適した業務を見極め、使いやすくサポートの充実したツールを選ぶことが大切です。導入に向けた準備をしっかり行うことで、誰でも無理なくRPAを活用できるようになります。

おすすめのRPAツールとしては、プログラミング不要で直感的に操作できる「WinActor」や、Windows 10以降のユーザーであれば、無料で利用できる「Power Automate for desktop」があります。

自社でのRPA導入についてより具体的に検討したい場合は、まずは試してみませんか?
30日間、全ての機能が無料で使えるトライアルを実施していますので、ぜひお試しください。定期的に「WinActor」のハンズオンセミナーも開催しています。こちらのお申し込みもご検討ください。

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【よくあるご質問】

RPAの作り方



Q. RPAシナリオの作り方の一般的な流れを教えてください。
 
A: RPAロボットの作成は、主に以下の7つのステップで進められます。 

  1. シナリオの目的を明確にする: なぜその業務をRPAで自動化するのか、期待する成果を具体的に設定します。
  2. 業務手順を書き出す: 自動化対象の業務について、現在の手順を一つひとつ丁寧に洗い出し、人が行っている作業をロボットに置き換えられるようにします。
  3. RPAシナリオの設計書を作る: 洗い出した業務手順をもとに、処理の順序、使用するアプリケーション、分岐条件、エラー時の対応などを具体的に記載した設計書を作成します。
  4. 複数人でシナリオ設計書の内容を精査し、ブラッシュアップする: 関係者や業務担当者など複数人で内容を確認し、抜け漏れや例外処理が適切に考慮されているかをチェックします。
  5. RPAツールでシナリオを実装する: 設計書に基づいて、RPAツール上で実際のシナリオを構築します。
  6. シナリオをテストする: 完成したシナリオは、本番環境に入れる前にテストを行い、想定どおりに動作するかを確認します。
  7. 定期的に保守・運用する: 業務フローの変更やシステムのアップデートにより、既存のシナリオが使えなくなることもあるため、定期的な見直しとメンテナンスが必要です。

 

RPAシナリオの作成方法



Q. RPAシナリオの作成方法にはどのような種類がありますか? 

A: RPAのシナリオ作成には、大きく分けて「簡易型」と「開発型」の2種類があります。 

A: 簡易型は、プログラミング知識がなくても、マウス操作やドラッグ&ドロップで直感的にシナリオを作成できます。業務手順をそのまま記録する「レコーディング機能」を持つツールが多く、定型的でシンプルな業務の自動化に適しています。
 
A: 開発型は、より高度な業務や複雑な分岐処理、システム連携などに対応できます。変数の定義や条件分岐、ループ処理などの論理的な構造を取り入れることで柔軟で堅牢なシナリオを構築できますが、プログラミング的な思考やITスキルが求められます。

 

初心者がRPAを簡単に作る為のコツ



Q. 初心者がRPAロボットを簡単に作るためのコツはありますか?

A: RPAの得意・不得意を見極め、単純な定型業務から着手することが、スムーズな導入の鍵です。

A: 全てをRPAで自動化するのではなく、イレギュラー対応には人間が介入できる仕組みをあらかじめ用意しておくことが大切です。

A: 操作の簡単なRPAツールを選ぶことで、初期の学習コストを抑え、誰でも手軽に自動化に挑戦できます。

A: ショートカットキーを活用することで、RPAによる画面操作が安定しやすくなります。

A: サポートやサンプルの充実したツールを選ぶことで、初めての方でも安心して学習・実装に取り組めます。

 

RPAツールの選定ポイント



Q. RPAツールを選ぶ際のポイントは何ですか? 

A: 対象業務に対して過不足のない機能のツールを選ぶことが重要です。必要な機能が不足していると目的の自動化が実現できず、逆に過剰な機能はコスト増の原因となります。 

A: サポートやメンテナンスを考えると有料ツールがおすすめです。トラブル発生時のサポート対応や、定期的なバージョンアップ、セキュリティ対策が期待できます。 

A: ITに関する専門知識がなくても扱えるツールが望ましいです。非エンジニアのスタッフでも直感的にシナリオを作成・修正できるツールを選ぶことで、現場主導での運用が可能になります

 


 

本コラム内容について
各コラムの内容は、執筆時点での情報を元にしています。
製品バージョンアップなどにより、最新ではない場合がありますので、最新の情報は、RPAツールの公式Webサイトなどを参考にすることをおすすめいたします。

各コラムの内容は、利用することによって生じたあらゆる不利益または損害に対して、
弊社では一切責任を負いかねます。
一つの参考としていただき、利用いただく際は、各社のルール・状況等に則りご活用いただけますと
幸いです。

※「WinActor®」は、NTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。
※「Python」は、Python Software Foundation の登録商標です。
※「Windows」「Power Automate for desktop」は、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

 

 

 

 

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