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AIエージェントの作り方を5ステップで解説|開発手法・ツールの選び方

作成者: ヒューマンリソシア編集チーム|Jul 30, 2026, 5:10:49 AM

                                                                                                                                                                              2026.07.30- 


生成AIの活用がビジネスの現場で広がるなか、単に質問に回答するだけでなく、
目的に応じて情報を収集・判断し、複数の処理を自律的に実行する「AIエージェント」が注目を集めています。

一方で、AIエージェントを自社業務に取り入れたいと考えていても、「何から作り始めればよいのか」「プログラミングの知識がなくても作成できるのか」「Difyなどの開発ツールと企業向けサービスのどちらを選べばよいのか」と悩んでいるDX推進担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、非エンジニアのビジネス層に向けて、AIエージェントを作る前の準備から具体的な作成手順、自社での構築・運用と外部サービスの活用方法の比較、選び方までを詳しく解説します。

自社の予算や体制に合ったアプローチを検討し、社内稟議や導入計画を進める際の参考にしてください。



【目次】

 

 

AIエージェントとは

AIエージェントの作り方を理解するためには、まず一般的な生成AIやチャットボットとの違いを押さえておく必要があります。
本章では、AIエージェントの基本的な仕組みと、生成AI・RPAとの違いを整理します。

AIエージェントとは、ユーザーから与えられた目標を達成するために、状況を把握し、必要な情報やツール、処理手順を選択しながら、複数のタスクを実行するAIシステムのことです。

AIエージェントの基本的な仕組み

AIエージェントは、大規模言語モデル(LLM)を「脳」として機能させ、外部ツール(検索エンジン、社内データベース、APIなど)と連携することで動作します。

ユーザーが「競合他社の最新の決算情報をまとめて」と指示を出した場合、AIエージェントは自ら「Webで検索する」「必要な数値を抽出する」「レポート形式にまとめる」といった手順を目的や状況に応じて選択し、順番に実行します。
一問一答ではなく、目的達成のために連続した処理を行える点が大きな特徴です。

生成AI・チャットボットとの違い

一般的な生成AIやチャットボットは、ユーザーの入力に対して回答を返す「対話型」のツールとして利用されることが一般的です。

これに対し、AIエージェントは、情報の検索、内容の判断、ツールの実行、次の処理への引き渡しなど、複数の行動を組み合わせられる点が特徴です。

チャットボットが「質問に答えるアシスタント」だとすれば、AIエージェントは「指示された目的に向けて、必要な情報を集めながら作業を進めるアシスタント」といえます。

RPAとの違い

RPA(Robotic Process Automation)とAIエージェントは、業務を自動化する手段という点では共通していますが、処理方法や対応できる業務の性質に違いがあります。

項目 AIエージェント RPA
役割 状況に応じて情報を整理・判断する「脳」 指示された操作を実行する「手」
処理方法 状況に応じてプロセスの順序や内容を選択 事前定義されたルールやシナリオに従う
対応範囲 非定型業務や判断を含む業務 定型業務や決められた画面操作
変化への強さ 入力内容や表現の違いに柔軟に対応しやすい 画面や操作手順の変更により、シナリオの修正が必要になる場合がある

AIエージェントとRPAは、どちらか一方を選ぶものとは限りません。

たとえば、AIエージェントが問い合わせ内容を整理・判断し、RPAが基幹システムへデータを入力するなど、両者を組み合わせることで、自動化できる業務の範囲を広げられます。

【あわせて読みたい】
AIエージェントで業務効率化はどこまで変わる?RPAとの違い、活用事例、導入ポイントを解説

 

 

AIエージェントを作る3つのアプローチ

AIエージェントは、必ずしも高度なプログラミングを行わなければ作れないわけではありません。自社の人材や予算、セキュリティ要件に応じて、企業向けサービスを利用する方法から独自開発まで、複数の選択肢があります。

企業がAIエージェントを作成・導入する方法は、主に次の3つです。

  1. 企業向けのAIエージェント開発プラットフォームを利用する
  2. Difyなどのノーコード・ローコード基盤で作成する
  3. Pythonなどを使ってフルコードで独自開発する

1.企業向けのAIエージェント開発プラットフォームを利用する

「つなぎAI Powered by Dify」などの、企業での利用を前提としたプラットフォームや支援サービスを活用する方法です。

自社だけでサーバーや利用環境を構築するのではなく、セキュリティや権限管理など、企業利用に必要な機能が用意された環境を利用します。

プログラミングの知識がない担当者でも、ベンダーが提供する研修や伴走支援を受けながら、自社専用のAIエージェントを構築・運用できる体制を整えやすくなります。
社内にAIやクラウド環境を管理できる人材が不足している企業や、環境構築・保守の負担を抑えながら導入したい企業に適しています。

ヒューマンリソシアでは、Difyを基盤とした企業向けプラットフォーム「つなぎAI Powered by Dify」を活用し、AIエージェントの導入や内製化に向けた支援を行っています。

 つなぎAI Powered by Difyについて詳しく見る 

2.Difyなどのノーコード・ローコード基盤で自作する

Dify、n8n、Flowiseといったオープンソースなどの開発基盤を利用し、自社でAIエージェントを設計・構築する方法です。

画面上でブロックを組み合わせながら処理フローを作成できるため、フルコード開発と比べてプログラミングの負担を抑えられます。
また、APIや外部ツールと連携することで、自社の業務に合わせたAIアプリやワークフローを構築できます。

一方、利用形態によっては、サーバーの構築、セキュリティ設定、バージョンアップ、障害対応などを自社で行う体制が必要です。

Difyの特徴や、具体的な使い方については、以下の記事で詳しく解説しています。

【あわせて読みたい】
・Difyの使い方を解説|何ができるか・特徴・アプリ開発の手順まで

3.Pythonなどを使ってフルコードで独自開発する

PythonやLangChain、LangGraphなどの技術を活用し、エンジニアが独自にソースコードを記述してAIエージェントを開発する方法です。

複雑な社内のレガシーシステムとの深い連携や、独自のアルゴリズムを用いた高度なシステムを構築しやすい点がメリットです。

一方で、専門的な開発スキルを持つ人材が欠かせず、要件によっては開発期間や初期費用、導入後の保守負担が大きくなる可能性があります。

 

 

生成AIのカスタム機能でもAIエージェントは作れる?

AIエージェントを作る方法として、普段利用しているChatGPTやGeminiなどの生成AIサービスを活用できないかと考える方もいるでしょう。
用途によっては、生成AIに備わっているカスタム機能から始めることも可能です。

生成AIサービスのカスタム機能でできること

ChatGPTの「GPTs」やGeminiの「Gems」、Claudeの「Projects」などを活用すると、特定の指示や参照ファイルをあらかじめ設定したAIアシスタントを作成できます。

たとえば、次のような用途が考えられます。

  • 営業マニュアルを参照して、新人からの質問に回答する
  • 会議メモから指定の形式で議事録を作成する
  • 社内の文章ルールに基づいてメール文面を確認する
  • 商品情報をもとに紹介文の案を作成する

個人や少人数のチームで利用する文章作成、質問回答、資料整理などであれば、比較的始めやすい方法です。

業務システム連携や複雑な処理で開発基盤を検討したいケース

生成AIのカスタム機能は手軽な反面、企業全体の業務プロセスに組み込む場合には、必要な機能や契約プランによって制約が生じることがあります。

たとえば、次のような処理を行いたいケースです。

  • 複数の社内データベースを検索する
  • 社内規程と申請内容を照合する
  • 条件によって処理を分岐する
  • 承認ワークフローへデータを引き渡す
  • 外部システムへ情報を書き込む
  • 部署や役職ごとにアクセス権限を設定する

複数の処理を組み合わせたり、社内システムと連携したりする場合は、Difyなどの開発基盤や企業向けプラットフォームを検討する必要があります。

 

 

AIエージェントを作る前に確認したい5つの準備

利用するツールや開発方法を決める前に、まずはAIエージェントを何のために作るのかを整理することが重要です。
準備が不十分なまま開発を始めると、期待した効果が得られなかったり、運用やセキュリティの問題が生じたりする可能性があります。

本章では、AIエージェントの開発に着手する前に確認しておきたい5つの準備を解説します。

1.対象業務と現在の業務フローを整理する

まず、どの業務にAIエージェントを活用するのかを明確にします。

「問い合わせ対応」「契約書の一次確認」などの大まかな業務名だけでなく、業務の開始から完了までの流れを整理しましょう。

次のような項目を確認します。

  • 誰が業務を担当しているか
  • どのような情報を受け取るか
  • どこで人の判断が必要か
  • どのシステムや資料を使用しているか
  • どの工程に時間がかかっているか
  • どのようなミスが発生しているか

業務フローを可視化することで、AIに任せる工程と、人が引き続き担当する工程を整理しやすくなります。

AIエージェントの対象業務としては、発生頻度が高く、判断ルールを整理しやすい業務から検討すると進めやすくなります。

PDF、メール、Webサイト、報告書などの非構造化データを扱う業務や、複数のシステムをまたいで情報を処理する業務も、AIエージェントを活用しやすい領域です。

一方、厳密な数値計算が必要な業務や、決められた画面操作を繰り返す業務では、既存システムの改修やRPAのほうが適している場合があります。

2.使用する社内データやマニュアルを整理・データ化する

AIエージェントは、与えられた情報を基に回答や処理を行います。

そのため、参照させる社内規程、業務マニュアル、FAQ、過去の対応履歴などを整理する必要があります。

情報が古かったり、複数の資料で記述が矛盾していたりすると、AIが適切な回答や処理を行えない可能性があります。
AIに読み込ませる前に、データの最新化、一元化、不要な情報の削除などを行っておくことが重要です。

AIエージェントを作成するだけでなく、参照するデータを継続的に更新できる体制も必要です。

3.AIに任せる範囲と人が確認する範囲を決める

業務プロセスのすべてを最初からAIに一任するのはリスクが伴います。

「AIが過去のデータから見積書のドラフトを作成し、最終的な金額確認と顧客への送信は人間が行う」といったように、どこまでをAIの担当とし、どの段階で人が確認・承認するのかを、明確に設計します。

このように、AIの処理に人の確認を組み込む考え方を「Human in the Loop」と呼びます。

人の確認工程を設けることで、誤った情報が社外へ送信されるなどのトラブルを防ぎやすくなります。

4.目標と導入効果を測る指標を設定する

「とりあえず導入してみる」ではなく、定量的な目標やKPIを設定します。

たとえば、「一次回答の作成時間を1件あたり15分から5分に短縮する」「社内問い合わせへの対応工数を月間20%削減する」などです。

導入前の作業時間や件数を把握しておくことで、導入後に効果を検証しやすくなり、上司や経営層に対して費用対効果を説明しやすくなります。

5.セキュリティ要件・利用規約・社内承認を確認する

企業の基幹データや個人情報をAIに扱わせる場合、セキュリティの確認が必要です。

入力したデータがAIモデルの学習に二次利用されないか、データの保存場所(国内サーバーか否か)、アクセス権限の制御は可能かなどを確認します。

特に中堅・大企業においては、情報システム部門や法務・セキュリティ部門と連携し、社内規程に準拠した形で稟議や承認を進める準備が必要です。


【あわせて読みたい】
AIエージェント導入ガイド|生成AIとの違い・活用事例・導入ステップを解説

 

 

AIエージェントの作り方|基本の5ステップ


対象業務や必要なデータ、AIに任せる範囲を整理したら、実際の作成プロセスへ進みます。

AIエージェントは、ツール上で設定を行うだけでなく、要件定義から検証、運用改善までを一連の流れとして進めることが重要です。

本章では、開発手法にかかわらず共通するAIエージェントの作り方を、5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:AIエージェントの役割と要件を定義する

最初に、AIエージェントを誰が、どのような場面で利用し、どのような結果を得たいのかを整理します。

次の項目を簡単な要件定義書にまとめましょう。

  • 利用する部門・担当者
  • 対象となる業務
  • 入力する情報
  • 出力する内容・形式
  • 参照するデータ
  • 連携するシステム
  • AIが実行できる操作
  • AIが実行してはいけない操作

AIエージェントに「やってほしいこと」だけでなく、「やってはいけないこと」も定義します。

たとえば、次のようなルールです。

  • 顧客へ自動でメールを送信しない
  • 特定のシステムへ自動で書き込まない
  • 個人情報にはアクセスしない
  • 参照資料から判断できない場合は推測で回答しない
  • 判断できない場合は担当者へ確認を促す

 

ステップ2:処理の流れと人の確認・承認フローを設計する

次に、AIエージェントが実行するタスクの手順をフローチャートなどで整理します。

たとえば、社内問い合わせへの回答案を作成する場合は、次のような流れになります。

  1. ユーザーから質問を受け付ける
  2. 社内のFAQやマニュアルを検索する
  3. 関連する情報を抽出する
  4. 回答案を作成する
  5. 担当者へ確認を依頼する
  6. 担当者が確認して回答する

このとき、AIが自動で実行してよい処理と、人が確認・承認する処理を明確に分けます。

影響の大きい処理ほど、人による確認を設けることが重要です。

ステップ3:開発手法・ツール・AIモデルを選定する

要件を整理したうえで、自社に適した開発手法やツールを選びます。

判断する際は、次の項目を比較します。

  • 社内のIT人材
  • 開発にかけられる期間
  • 初期費用・運用費用
  • セキュリティ要件
  • 既存システムとの連携
  • 必要なカスタマイズの範囲
  • 運用・保守を担当できる人員
  • ベンダーによる支援の必要性

同時に、裏側で動かすAIモデル(GPT系・Claude系・Geminiなどのモデル)についても、必要な回答精度、処理スピード、APIの利用コストを踏まえて選定します。

特定のAIモデルやツールを先に決めるのではなく、対象業務や必要な機能を整理したうえで選ぶことが大切です。

ステップ4:小規模なプロトタイプを作成して検証する

いきなり完成形を目指して全社展開するのではなく、まずは特定の部署や業務に限定したプロトタイプを構築します。

たとえば、社内問い合わせに回答するAIエージェントの場合は、AIの役割と回答ルールを設定し、FAQや業務マニュアルを参照データとして登録します。さらに、必要に応じて社内データの検索や担当者への通知などの機能を処理フローに組み込み、テスト用の質問を入力して回答精度を確認します。

少人数の担当者に実際に使ってもらい、以下を確認します。

  • 回答や処理結果の正確性
  • 必要な情報を適切に参照できているか
  • 処理が途中で止まらないか
  • 操作方法が分かりやすいか
  • 人の確認工程が適切に機能するか
  • 想定外の入力に対して危険な処理を行わないか

この段階で課題を洗い出し、プロンプト、参照データ、処理フロー、権限設定などを修正します。

ステップ5:実務へ導入し、ログや利用状況を基に改善する

プロトタイプの検証で実用性が確認できたら、本番環境へ移行し、対象部門で本格的な運用を開始します。

AIエージェントは導入して終わりではありません。
次のような情報を定期的に確認し、改善を続けます。

  • 利用回数
  • 処理にかかった時間
  • 誤回答や処理エラー
  • 人による修正内容
  • 利用者からの意見
  • 利用されなくなった機能
  • APIやシステムのエラー
  • 利用料金の推移

あわせて、業務や社内規程の変更に応じて、AIエージェントの設定を更新する運用体制を整えることが必要です。

 

 

どれを選ぶべき?AIエージェント開発手法の比較と選び方


ここまで、AIエージェントを作る方法として、企業向けプラットフォームの利用、自社でのノーコード・ローコード開発、フルコードによる独自開発の3つを紹介しました。

それぞれにメリットと注意点があるため、「できるだけ費用を抑えたい」「社内にエンジニアがいない」といった一つの条件だけで決めるのではなく、必要な人材、セキュリティ、運用・保守の負担まで含めて比較することが重要です。

以下では、3つの開発手法の違いを比較表にまとめます。

【比較表】開発スキル・費用・セキュリティ・運用体制を比較

比較項目 企業向けマネージド型プラットフォーム ノーコード・ローコード基盤の自社運用(Difyなど) フルコード開発
(Pythonなど)
必要な開発スキル 高度なプログラミングは原則不要。ただし、業務整理やフロー設計の知識は必要 基礎的なIT知識、論理的思考力、環境管理の知識 高度なプログラミング・システム設計スキル
構築の自由度 プラットフォームの機能範囲内で設定可能 高い 非常に高い
(制限が少ない)
導入の進めやすさ 環境構築の負担を抑えやすく、比較的進めやすい 環境や利用形態によっては構築・設定が必要 要件定義から設計・開発が必要
セキュリティ 企業向けのセキュリティ機能を利用可能。自社要件との適合確認は必要 利用サービスの確認や、自社での設定・管理が必要 自社要件に合わせた設計・実装が必要
既存システム連携 標準機能やAPIの範囲で対応 APIやプラグインなどで対応 独自連携を設計しやすい
運用体制 ベンダーの支援を受けながら運用可能 自社内で運用・保守体制の構築が必須 エンジニアによる継続的な保守が必須
サポート 研修、技術支援、トラブル対応など 利用するサービスやプランによって異なる 自社エンジニアまたは外部の開発会社が対応
費用 初期費用、月額利用料、支援費など ツール利用料、API利用料、サーバー費、社内人件費など 初期開発費、インフラ費、保守費など

比較表からわかるように、企業向けプラットフォームは環境構築や運用の負担を抑えやすい一方、利用料や支援費が発生します。

Difyなどを自社で運用する方法は柔軟性がありますが、環境管理や保守を担う人材が必要です。
フルコード開発は自由度が高い反面、専門的な人材や継続的な開発体制が求められます。

以下では、それぞれの開発手法がどのような企業に適しているのかを詳しく見ていきます。

企業向けプラットフォームが適しているケース

次のような企業は、企業向けプラットフォームや導入支援の利用を検討しやすいでしょう。

  • 社内に専任のエンジニアがいない
  • サーバーやクラウド環境の管理負担を抑えたい
  • セキュリティ設定に不安がある
  • 対象業務の整理から相談したい
  • 社員向け研修や技術支援を受けたい
  • 比較的短期間で検証を始めたい
  • 将来的な内製化を目指している

Difyなどの開発基盤を自社で構築・運用するのが適しているケース

次のような体制を整えられる企業は、自社での構築・運用も選択肢になります。

  • 情報システム部門やDX推進部門がある
  • サーバーやクラウド環境を管理できる
  • APIや外部システム連携の知識がある
  • セキュリティ設定や更新作業に対応できる
  • 社内の問い合わせに対応できる
  • 回答精度や利用状況を継続的に改善できる

ツール自体を低価格または無料で利用できる場合でも、API利用料、サーバー費、運用担当者の人件費などが発生する点に注意が必要です。

フルコード開発が適しているケース

次のような要件がある場合は、フルコード開発が適している可能性があります。

  • 自社の競争力に直結する独自機能を開発したい
  • 既存の基幹システムと複雑な連携が必要
  • 標準機能やAPIでは実現できない処理がある
  • AIエージェント自体を自社サービスとして提供したい
  • 開発・保守を担当するエンジニアを確保できる

既存のプラットフォームや開発基盤で実現できない要件なのかを整理したうえで、独自開発の必要性を判断しましょう。

内製と外部支援を判断するポイント

AIエージェントの構築は、「すべて自社で行う」「すべて外部へ委託する」という二択ではありません。

たとえば、初期の環境構築やセキュリティ設定は外部の支援を利用し、業務フローの作成やプロンプトの改善は社内で行う方法もあります。

自社で継続的に担当したい領域と、専門会社へ任せたい領域を分けて考えることが重要です。

 

 

AIエージェントの具体的な活用例

AIエージェントの作り方や開発手法を理解しても、実際にどのような業務へ適用できるのかイメージしにくい場合もあるでしょう。

本章では、企業の業務における代表的な活用例をご紹介します。

問い合わせ内容に応じた一次回答案の作成

カスタマーサポートや社内ヘルプデスクにおいて、受信したメールやチャットの内容をAIエージェントが解析します。

過去の対応履歴やFAQデータベースを参照し、最適な回答のドラフト(一次回答案)を自動で作成します。
担当者は、AIが作成した文章に目を通し、必要に応じて微修正を加えて送信するだけで済み、対応負担の軽減が期待できます。

社内規程・ガイドラインに基づく申請内容の一次チェック

法務部門での契約書レビューや、経理部門での経費精算チェックにおいて活用する例です。

提出された申請内容やドキュメントをAIエージェントが読み込み、社内規程やガイドラインの条件(例:特定のリスク条項が含まれていないか、上限金額を超えていないか)と照合を行います。

不備や確認が必要な箇所をハイライトして提示するため、人間の担当者は重点的にチェックすべきポイントに集中しやすくなります。

過去のトラブル情報や社内ナレッジの横断検索

製造業の保守メンテ部門などで、過去の膨大な報告書やマニュアルが複数のシステムに散在しているケースに有効です。

担当者が「〇〇のエラーコードが出た際の対処法」と指示すると、AIエージェントが複数のデータベースを横断的に検索し、関連する事例を抽出し、解決手順を要約して提示します。

ベテラン社員に属人化していた知識へのアクセスがしやすくなり、問題解決までの時間短縮につながる可能性があります。

マーケティング文章や求人原稿の作成支援

商品の特徴やターゲット層、過去の広告文、作成時のルールなどを参照し、複数パターンの文章案を作成します。

さらに、禁止表現や掲載ルールとの照合、担当者への確認依頼までを処理に組み込むことで、文章生成だけでなく、作成業務全体を支援するAIエージェントとして活用できます。

ヒューマンリソシアの活用事例:求人原稿作成を支援するAIエージェント

ヒューマンリソシアでは、求人情報をもとに求職者のペルソナを設定し、ターゲットに合わせた求人広告文を生成するAIエージェントを活用しています。

ペルソナの設定から求人広告文の作成までの一連の工程を支援しており 、月約4,000件の求人原稿作成業務に活用しています。
これにより、原稿品質の安定化と担当者の作業負担軽減につなげています。

こうした自社でのAI活用を通じて蓄積した知見を活かし、企業におけるAIエージェントの導入や内製化に向けた研修・支援サービスも行っています。

【関連記事】AIエージェントを活用した求人原稿作成の実録事例

 

 

AIエージェントを企業で構築・導入する際の注意点


AIエージェントはさまざまな業務を支援できますが、設定や運用方法によっては、誤った処理や情報漏えいなどの問題につながる可能性もあります。

本章では、企業で安全に利用するために、作成・導入時に押さえておきたい注意点を解説します。

最初からすべての工程を自動化しない

もっとも陥りやすい失敗は、人間の介入を完全にゼロにしようとすることです。

複雑な判断が求められる業務や、顧客への直接的な連絡など誤りによる影響が大きい業務では、必ず「AIが作成し、人が確認・承認して実行する」という工程(Human in the Loop)を設けます。まずはリスクの低い社内向けの業務の一部から導入し、精度を検証しながら段階的に自動化の範囲を広げていくアプローチが着実です。

ハルシネーションを前提に確認・制御の仕組みを設ける

AIが事実とは異なる情報を、もっともらしく生成する現象をハルシネーションと呼びます。

ハルシネーションを完全に防ぐことは難しいため、社内データを検索・参照して回答を生成するRAGの活用や、回答時に参照した資料名・リンクを表示するなど、内容を確認しやすくする仕組みを設けます。

また、参照資料から判断できない場合は、推測で回答せず、担当者への確認を促すように設定することも有効です。

機密情報・個人情報の取り扱いルールを定める

AIエージェントへ入力してよい情報と、入力してはいけない情報を明確に定めます。

マイナンバー、クレジットカード情報、未発表の経営情報など、影響の大きい情報については、AIエージェントがアクセスできないようにする方法も検討します。

また、利用する生成AIサービスやプラットフォームの規約を確認し、入力データがAIモデルの学習に利用されるか、データが保存されるかなどを把握しておきます。

AIに付与する権限を必要最小限にする

AIエージェントに社内システムへのアクセス権やデータの書き込み権限を付与する場合は、必要以上の権限を与えないことが重要です。

万が一、誤った指示やプロンプトインジェクションなどが発生した場合でも、影響を抑えられるように、最小権限の原則に基づいて設定します。

たとえば、情報を参照するだけのAIエージェントには、データの削除や変更権限を付与しないなどの対策が考えられます。

あわせて、誰がいつAIエージェントを利用し、どのような処理を行ったのかを確認できるように、操作ログを取得できる体制を整えます。

運用・データ更新・改善を担当する人を決める

AIエージェントを導入した後に、プロジェクトチームが解散してしまうと、参照データや設定が更新されず、次第に利用されなくなる可能性があります。

社内規程の変更や新商品の発売に合わせて参照データを最新化する担当者、AIの回答精度をモニタリングしてプロンプトを改善する担当者など、運用・保守の役割分担をあらかじめ決めておき、継続的にAIを育てていく体制を構築することが重要となります。

AIエージェントは導入して終わりではなく、実務で使いながら「育てていく」発想が運用の鍵となります。
最初から完全自動化を目指すのではなく、まずは特定の部署や限定的な業務で稼働させ、実際の利用ログや現場のフィードバックを基にプロンプトや参照データを定期的に更新していく体制をあらかじめ整えておくことが、社内での形骸化を防ぐことにつながります。

 

 

まとめ|自社の体制に合った方法でAIエージェントの作成を始めよう


AIエージェントは、質問に回答するだけでなく、情報の収集、整理、判断、ツールの実行など、複数の処理を組み合わせて業務を支援する仕組みです。

作成方法には、主に次の3つがあります。

  • 企業向けのAIエージェント開発プラットフォームを利用する
  • Difyなどのノーコード・ローコード基盤を自社で運用する
  • Pythonなどを使ってフルコードで独自開発する

大切なのは、最初から流行のツールを選ぶのではなく、自社の対象業務、必要なセキュリティ水準、社内のIT人材、そして運用を担う社内体制などを整理したうえで、自社に適した方法を選ぶことです。

また、最初から業務全体を自動化するのではなく、対象を限定してプロトタイプを作成し、人による確認を組み込みながら検証を進めることが重要です。

ヒューマンリソシアでは、Difyを基盤とした「つなぎAI Powered by Dify」を通じて、企業向け環境でのAIエージェントの作成、研修・技術支援を活用した自社内製化の推進をサポートしています。

「自社の業務にはどの方法が適しているのか」「AIエージェントの作成や運用をどのように進めればよいのか」とお悩みの方は、以下のサービスページをご覧ください。

 

【よくあるご質問】

プログラミング知識と自社開発について

Q. 情報システム部門のプログラミング知識がなくても、自社でAIエージェントを作れますか?

A: Difyなどのノーコード・ローコード基盤や企業向けプラットフォームを利用すれば、高度なプログラミングを行わずにAIエージェントを作成することも可能です。
ただし、業務フローの整理、参照データの準備、権限設定、回答精度の確認などは必要です。作成後の運用まで含めて、担当者や社内体制を決めておきましょう。

無料ツールでのビジネス利用について

Q. 無料のツールだけで、ビジネス用のセキュアなAIエージェントを作ることはできますか?

A: オープンソースのツールを利用することで、ソフトウェアの利用料を抑えられる場合があります。一方、サーバー環境、生成AIのAPI利用料、セキュリティ対策、バージョンアップ、障害対応などには費用や運用工数がかかります。
ツールの利用料だけではなく、構築や保守に必要な人件費も含めて比較することが重要です。

導入にかかる期間について

Q. 開発の着手から実務への導入まで、どのくらいの期間がかかりますか?

A: 必要な期間は、対象業務、連携するシステム、セキュリティ要件、開発手法によって異なります。
ノーコード・ローコード基盤を利用し、対象業務を限定したプロトタイプであれば、比較的短期間で検証を開始できる場合があります。一方、既存システムとの複雑な連携や独自開発が必要な場合は、要件定義や開発、テストに一定の期間が必要です。

ツールとプラットフォームの違い

Q. Difyと「つなぎAI Powered by Dify」の違いは何ですか?

A: Difyは、チャットボット、ワークフロー、AIエージェントなどを作成できるAIアプリ開発基盤です。
「つなぎAI Powered by Dify」はDifyを基盤とし、企業での利用を想定した環境と、導入・活用に向けた支援を組み合わせたサービスです。Difyを自社で構築・運用する場合は、環境管理やセキュリティ設定、アップデート対応などを自社で行います。一方、「つなぎAI Powered by Dify」では、環境の提供に加えて、研修や技術支援を受けながら活用を進められます。

開発手法の選び方

Q. 自社での構築と外部支援は、どのように選べばよいですか?

A: 社内にサーバー構築やセキュリティ管理を担える専門的なIT人材が確保でき、運用保守にリソースを割ける場合は自社開発も選択肢に入ります。
一方、社内のIT人材が限られている場合や、対象業務の選定・要件整理から相談したい場合は、企業向けプラットフォームや外部の導入支援を活用する方法があります。

すべてを自社または外部に任せるのではなく、環境管理は外部の支援を利用し、AIエージェントの作成・改善は社内で行うなど、役割を分ける方法も検討できます。

 

 

本コラム内容について
各コラムの内容は、執筆時点での情報を元にしています。
製品バージョンアップなどにより、最新ではない場合がありますので、最新の情報は、各社の公式Webサイトなどを参考にすることをおすすめいたします。

各コラムの内容は、利用することによって生じたあらゆる不利益または損害に対して、
弊社では一切責任を負いかねます。
一つの参考としていただき、利用いただく際は、各社のルール・状況等に則りご活用いただけますと
幸いです。

 

※「Microsoft」「Copilot」 は、米国Microsoft Corporationの登録商標または商標です。
※「ChatGPT」 は、OpenAI, Inc.の商標です。
※「Gemini」 は、Google LLCの商標です。
※「Claude」 は、Anthropic PBCの商標です。
※「つなぎAI」は日本国内における日本電子計算株式会社の登録商標です。
※「Dify」は米国LangGenius社の登録商標です。
※記載されている会社名、製品名は、各社の商標または登録商標です。