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RPAで人事・総務業務を自動化!活用事例12選と導入を成功させる5つの手順

作成者: ヒューマンリソシア編集チーム|Mar 27, 2026 3:01:15 AM

                                                                                                                                                                                  2026.03.27-          


人材不足や長時間労働の規制強化により企業には限られたリソースで業務を効率化し、成果を出し続けることが求められています。
特に人に関わる人事・総務部門が残業や従業員の定着に課題を抱えている場合、組織全体にも影響が及びかねません。
そこで注目されているのが、定型業務を自動化できるRPA(Robotic Process Automation)です。
しかし、ITに精通していない担当者が多い現場では、自社でも扱えるのかといった不安を抱くケースも少なくありません。

本記事では、勤怠管理や採用事務などを効率化するRPA活用事例12選と、導入を成功させるための5つのステップをわかりやすくご紹介します。


目次

 

 

人事部・総務部が今こそRPAを導入すべき理由

少子高齢化による労働力不足に加え、転職やフリーランスといった多様な働き方の浸透により、人材の流動性は年々高まっています。

株式会社マイナビの「中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)」では、中途採用費が前年比20.9万円増加しており、採用コストは上昇傾向にあることが明らかとなりました。
早期離職が発生すれば、採用コストの再発生と担当者の工数増大を招き、さらなる負担増につながる可能性があります。

人事・総務部門には、従来の管理業務にとどまらず、採用手法の改善や人材の定着率向上を実現する戦略的役割が求められています。しかし、採用管理や勤怠処理などの定型業務に追われていては、本来注力すべき業務に十分な時間を割けません。

人事部・総務部におけるRPA導入は、定型業務を効率化し、人事本来の高付加価値業務へリソースを最適化するための有効な施策といえます。

※出典:株式会社マイナビ「中途採用状況調査 2025年版(2024年実績)

人事業務のデジタル化が求められる背景と労働力不足

 日本では生産年齢人口の減少が進み、企業は限られた人員でバックオフィス業務を回す体制を整えることが求められています。特に2030年に向けて労働人口の大幅な減少が予測される「2030年問題」により、人材確保の難易度はさらに高まる見込みです。

また、2019年4月から順次施行された「働き方改革関連法」により、時間外労働の上限規制が導入されました。
大企業、中小企業へと段階的に適用が進み、建設業、自動車運転の業務(物流業)、医師などについても2024年4月から適用されています。
これにより、企業には長時間労働に依存しない業務運営がこれまで以上に求められるようになりました。

人事業務においても、採用管理、勤怠対応、入退社手続き、各種申請処理など、日常的に発生する定型業務をいかに効率化するかが重要な課題となっています。人員や業務時間を増やしにくい一方で、対応すべき業務は減らないため、RPAをはじめとするデジタル技術を活用して定型作業の負担を軽減し、生産性向上につなげる取り組みがますます重要になっています。

人事部門の価値を「作業」から「戦略」へ変える必要性

 多くの企業では人事担当者が給与計算や入退社手続きといった定型業務に多くの時間を費やしています。

経営層からは採用強化や人材定着を求められているにもかかわらず、日々の事務処理に追われ、戦略的な取り組みに十分な時間を確保できないケースも少なくありません。労働力不足が進む現在、人事業務の在り方は大きな転換点を迎えています。

定型業務に時間を割き続けることは、採用競争力や組織力の低下につながる恐れがあります。

RPAによる業務効率化を進めることで人事部門は分析や企画、組織開発といった人にしか担えない高付加価値業務へ人的リソースを再配分できます。

人事の役割を作業中心から戦略中心へ転換することは、企業の持続的成長を支えるうえで重要です。

 

 

人事・総務業務をRPAで自動化する3つのメリット

人事・総務部門においてRPAを導入することで、主に次の3つのメリットが得られます。

①人為的ミスの削減によるコンプライアンス強化
②定型業務の工数削減による生産性向上
③高付加価値業務へのシフトによる組織力・従業員満足度の向上

本章では、人事・総務業務の自動化によって得られる変化を定量面・定性面の両側面から整理してご紹介します。

人為的なミスを排除しコンプライアンスを強化する

 人事・総務部門では従業員の個人情報や給与データ、社会保険情報など機密性の高い情報を日常的に扱っています。
給与計算データの登録といった人事業務では、わずかな入力ミスが従業員への誤支給や申請不備につながり、企業の信頼低下や法令違反リスクを招く可能性があります。
手入力やExcel転記に依存した業務体制では、確認漏れや転記ミスのリスクを完全になくすことは難しいのが実情です。

RPAによる業務自動化を進めることで定められたルールに基づいた正確な処理が可能となり、人為的ミスの削減と情報管理精度の向上につながります。
RPAを活用する体制を構築することは、人事部門のコンプライアンス強化と企業の信頼維持につながります。

定型業務の工数削減による「生産性向上」

勤怠データの集計や給与計算の前処理、各種申請の確認など人事・総務には毎月発生するルーチンワークが数多く存在します。
月末には勤怠チェックだけで数時間を要し、残業が常態化している企業も少なくありません。

たとえば、データ入力のチェック作業に1日1時間かかっている場合、月20日稼働であれば約20時間の工数が発生します。

RPAを活用し、不備を自動抽出できれば、チェック時間を削減することが可能です。
さらに、2名体制で行っていたダブルチェックをシステムによる自動検証に置き換えることで、人的コストの圧縮にもつながります。
創出された時間を採用戦略の見直しや人材育成施策に充てられるだけでなく、残業負担の軽減にもつながり、バックオフィス全体の生産性向上が期待できます。

付加価値の高いコア業務へのシフトと従業員満足度の向上

人事・総務部門が定型業務に追われていると、従業員からの相談対応やキャリア面談が後回しになり、離職の兆しに気づけない状況が生まれます。その結果、エンゲージメントの低下や定着率の悪化を招く可能性があります。

RPAによって事務負担を軽減できれば、人事担当者は従業員一人ひとりと向き合う時間を確保することが可能です。

相談しやすい環境を整えることで、従業員が安心して働ける組織づくりが進み、社内全体のエンゲージメント向上にもつながります。

 

 

人事業務においてRPAができること・できないこと

RPAは人事業務の自動化や業務効率化に有効なツールですが、すべての業務を自動化できるわけではありません。
導入効果を最大化するためには、RPAができること・できないことを正しく理解し、業務との相性を見極めることが重要です。

本章では、人事業務におけるRPAの得意分野と不得意分野をご紹介します。

RPAが得意な業務(定型・ルール化できる作業)

RPAが得意とするのは、以下の3つの条件を満たす定型業務です。

・手順が明確である
・繰り返し発生する
・デジタルデータで完結する

たとえば、毎月の締め日に発生する勤怠データの集計や応募者情報のシステム登録などは処理ルールが定まっており、自動化の対象として適しています。

Excelや社内システム上で完結するバックオフィス業務(CSV加工、未提出者抽出、メール送信など)は、手作業では転記や確認に時間を要し、ヒューマンエラーも発生しやすい領域です。

RPAを活用すれば、同じルールに基づく処理を正確かつ安定的に実行できるため、業務効率化とミス削減を同時に実現できます。

RPAが苦手な業務(判断・例外対応が必要な作業)

RPAは、判断や感情を伴う人事業務には適していません。

たとえば、退職を悩む従業員との面談で表情や言葉のニュアンスを汲み取ることや、履歴書だけでは判断できない人物像を見極める最終的な採用可否の判断は人間が担うべき領域です。

また、想定外の例外対応や複雑な判断も定められたルールだけでは対応できません。

たとえば、勤怠に不備があっても事情を踏まえて承認するケースや、応募条件を一部満たしていなくてもポテンシャルを評価して選考を進めるかどうかの判断などが該当します。

定型業務の自動化はRPAに任せ、人にしかできない業務へ集中する明確な役割分担を行うことが重要です。

より詳しく知りたい方は、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
RPAのできること・できないことの具体例や、どこまで業務を自動化すべきかの判断基準などもご紹介しています。

【関連記事】RPAでできること・できないことを徹底解説!

 

 

【分野別】人事・総務業務のRPA活用法の事例12選

 RPAによる業務自動化の効果を理解していても、実際に自社へ導入するとなるとどの業務を対象にすべきかを具体的にイメージできないケースは少なくありません。
特に人事・総務業務は領域が広く、自動化対象の選定に迷う担当者も多いでしょう。

また、社内提案を行う際には、単に効率化できるという抽象的な説明ではなく、どの課題がどのように改善されるのかを明確に示す必要があります。

本章では、人事・総務業務におけるRPA活用事例を12選として、ご紹介します。

1. 採用RPA:母集団形成から選考管理までの自動化

 採用活動では、自社サイトや求人媒体など複数経路から応募が届きますが、応募者情報を管理表や採用システムへ手入力や転記する作業に多くの時間がかかるケースがあります。

転記ミスや更新漏れが発生すると、候補者対応の遅れや選考管理の混乱につながり、売り手市場においては優秀な人材の獲得機会を損失する可能性があります。

RPAを活用すれば、応募者情報の自動取得や管理表への転記といった業務を自動化でき、担当者は面接調整や候補者フォローといった本質的な業務に集中することが可能です。

【スクリーニング】応募者情報の自動選別と評価フラグの付与

大量の応募データを手作業で確認する作業は時間と労力を要します。
たとえば、応募数100件の中から「居住地が神奈川・東京」「キャリアコンサルタント資格あり」「職務経験3年以上」を満たす応募者に絞りたい場合、手動では多くの確認工数が発生します。

RPAを活用すれば、事前に定義した条件に基づいて応募者情報を抽出し、設定した基準ごとに自動でフラグを立てることが可能です。
条件に合致する候補者を優先的に表示できることで、採用プロセス全体のリードタイム短縮が期待できます。

【日程調整】面接候補者への案内メール作成と送信

合否連絡や面接日程の案内は、誤送信や記載漏れが許されない業務です。
応募者が増えるほど、宛先の取り違えや日程記載ミス、送信漏れといったヒューマンエラーのリスクも高まります。

RPAを活用することで、テンプレートに基づいた案内メールを自動生成し、条件に合致した対象者へ漏れなく送信できます。
さらに、受信メールを自動取得し、返信の有無に応じて管理表のステータスを更新するなど進捗管理の効率化も可能です。

【書類管理】提出された履歴書のデータ抽出と指定フォルダ保存

応募書類は自社サイトや転職サイト、エージェント経由などさまざまな経路で届きます。
手作業でダウンロードやファイル名変更、保存先の振り分けを行うと時間がかかるうえ、格納漏れや命名ミスが発生する可能性もあります。

RPAによる自動化が進めば、各媒体から応募書類を取得し、応募者名や日付を自動付与したうえで指定フォルダへ格納することが可能です。
書類の保管ルールが統一されることで必要な情報を迅速に検索でき、関係者間での共有も円滑になります。

【媒体連携】各媒体の応募者情報を管理表に集約

複数の求人媒体を利用している場合、それぞれの管理画面で応募状況を確認し、Excelなどへ転記する作業が発生します。媒体ごとにログインして確認する手間に加え、解約後に過去データへアクセスできなくなる可能性もあります。
媒体解約時には事前にデータをバックアップする必要があり、管理負担は避けられません。

RPAを活用すれば、各媒体の応募者情報を定期的に取得し、自社の管理表へ自動集約できます。
応募者データを自社に蓄積することで、転記ミスを防ぎ一元管理が可能となり、進捗把握や分析、報告業務の効率化につながります。

2. 労務管理:RPAで勤怠管理・給与計算などの精度を最大化

労務管理は、勤怠集計や給与計算の誤りがトラブルに直結する領域です。
給与の誤支給や手当計算ミスは、従業員の信頼低下や問い合わせ対応の増加を招き、組織全体の生産性にも影響を及ぼします。

RPAを導入することで、データ集計やシステム登録といった定型作業を正確に実行でき、ヒューマンエラーの発生を抑制することが可能です。
処理の標準化と記録の自動化により、法令順守と安定した労務運用を実現できます。

【打刻チェック】勤怠データと申請の不整合を自動抽出

勤怠管理では、打刻データと休暇・残業申請の不一致が発生しやすく、月末にまとめて確認すると大きな負担になります。打刻漏れや有休との重複が放置されると、給与計算ミスや労働時間管理の不備につながる恐れがあります。

RPAを活用すれば、たとえば、以下の手順で勤怠チェックを自動化することが可能です。

①勤怠・申請データを取得
勤怠システムから出力した打刻データと休暇・残業申請データを読み込みます。

②条件で自動突合
退勤打刻なしや残業時間の差異などを条件に自動判定します。

③不一致のみ一覧化
該当データのみをチェックリストとして出力します。

確認対象を絞り込むことで、担当者は必要な確認作業に集中でき、業務効率の向上が期待できます。

【アラート】残業時間の自動集計と、超過見込み者への事前通知

残業時間の上限規制が厳格化する中、月末に超過が判明してからでは対応が困難です。

RPAを活用すれば、勤怠データを定期的に取得し、月40時間超過見込みなどの条件で自動判定したうえで、対象者や上長へ通知することができます。
対応が遅れれば36協定違反のリスクや従業員の健康悪化、休職による業務負荷増大につながりかねません。事前にアラートを出す体制を整えることで、法令順守を徹底しながら安定した組織運営を支えることが可能です。

【給与連携】勤怠・手当など複数データの整形→システムへの取り込み

給与計算では、勤怠管理システムや各種手当申請システムなど複数のツールからデータを集約する必要があります。媒体ごとに形式が異なる場合、CSV出力後の列順調整や不要項目の削除といった前処理に毎月多くの時間を要します。

RPAを活用すれば、各システムから取得したデータを自動で整形し、給与計算システムへ取り込むことが可能です。
手作業による加工や転記の負担を軽減することで、給与計算業務の効率化と処理精度の向上を図れます。

【経費精算】経費精算のチェック+不備通知

経費精算業務では交通費や出張手当などの申請内容について、領収書との金額照合や社内規定違反の有無を確認する必要があります。
月末にまとめて確認を行うケースも多く、手作業では差戻し対応や再確認に多くの工数が発生します。

RPAによる自動化が進めば、提出されたExcelデータを自動で読み取り、規定との照合や不備の抽出を実行できます。
さらに、不備があった場合は本人へ自動通知することも可能です。
経費精算の確認作業を自動化することで、業務効率と処理の正確性を高めることが可能です。

 (活用事例)複数部署から届く経費精算Excelの集計を自動化し、10時間→数分に短縮 

ある経理部門では、各部署から提出される経費精算Excelファイルの集計に時間がかかっており、ファイルを1つずつ開いてマスターファイルへコピー&ペーストする運用が負担になっていました。そこでRPA(Power Automate for desktop)で、指定フォルダ内のExcelを順番に開き、必要データを読み取ってマスターファイルへ自動転記・集計するフローを構築したところ、10時間かかっていた作業が数分で完了するようになりました。
このように、経費精算に限らず複数Excelの取りまとめ・転記・集計が発生している業務であれば、同様の自動化を応用できる可能性があります。

3. 総務・年次業務:定期的な事務作業を自動化

総務・人事には、年末調整や健康診断管理など特定時期に業務が集中する年次業務があります。
頻度が低い分、毎年手順を確認しながら対応する必要があり、繁忙期には大きな負担となります。

RPAを活用すれば、データ集計や未提出者抽出などの定型処理を自動化することが可能です。
総務業務の自動化により属人化を防ぎ、期限厳守が求められる業務を効率的に対応できます。

【入退社手続き】社会保険などの書類の転記・作成支援

 入社時には、社会保険の資格取得届や各種アカウント発行など複数の手続きが同時に発生します。
氏名・住所・生年月日といった同一情報を複数のシステムへ繰り返し入力する必要があり、繁忙期には担当者の大きな負担となります。

RPAを活用すれば、入社予定者のリストを読み込み、勤怠管理システムや経費精算システム、社内ツールなどへ必要情報を順次登録する処理を自動化できます。
設定完了後に関係部署へ通知メールを送るところまで含め、一連の処理をワンフローで実行できるため、対応漏れの防止にもつながります。

(活用事例)入社手続きの一連作業を自動化し、工数を約50%削減

ある人事部門では、
①入社者リストファイルを読み込み
②勤怠管理システムへ自動ログインして情報を登録
③経費精算システムに情報を登録
④社内SNSに情報を登録
⑤最後に、関係部署へ「アカウント設定が完了しました」という通知メールまで自動送信する流れを構築しました。

この自動化により、作業工数は約50%削減。手作業で起こりやすい設定漏れ・入力ミスのリスクを低減でき、担当者は新入社員フォローや研修設計など、より時間をかけたいコア業務に集中しやすくなったという効果が期待できます。

(補足)“入口”の手続きをワークフローで整える方法も

入社手続きを効率化する方法はRPAだけではありません。たとえば、入社情報の回収や申請・承認といった“入口”のプロセスをワークフローでデジタル化し、必要に応じてRPAで周辺の登録作業を自動化するなど、役割分担で全体の負荷を下げる進め方もあります。
入社手続きのワークフロー整備も検討したい方は、関連サービスとして「クラウドハウス労務」も参考にしてください。

クラウドハウス労務のサービスページはこちら

【年末調整】未提出者への自動催促と回収ステータスの集計

 年末調整では、未提出者への督促や回収状況の管理が毎年大きな負担となります。
締切が近づくたびに提出状況を確認し、未提出者を洗い出して連絡する作業は、手間がかかるうえ見落としのリスクも伴います。

RPAを活用すれば、全社員リストと提出データを自動で突合し、未提出者のみを抽出できます。
さらに、対象者へ催促メールを送信し、回収状況を自動で集計・更新することも可能です。

【契約管理】労働契約の更新期限通知やフォーマットへの転記

 有期契約社員の管理では、更新期限の見落としが法的リスクにつながる可能性があります。

RPAの活用により、契約データを定期的に確認し、更新時期が近づいた対象者を自動で抽出できます。
さらに、契約書フォーマットへ必要情報を転記し、本人や上長へ更新通知を送信する処理まで一連で自動化が可能です。
更新漏れや転記ミスを防ぎながら、属人化しやすい契約管理業務を標準化できます。

【健康管理】健診未受診者の抽出と予約勧奨メールの自動送信

健康診断の管理では、対象者名簿と受診データを照合し未受診者を把握する必要があります。

RPAを活用すれば、対象者リストと受診実績データを自動で突合し、未受診者のみを抽出できます。
さらに、本人や上長へ予約を促すメールを自動送信し、受診状況を随時更新する運用が可能です。
目視確認に頼らない仕組みを整えることで、抜け漏れを防ぎながら、従業員の健康管理を行えます。


 

 

人事業務のRPA活用でよくある懸念と対策

人事業務でRPA導入を検討する際、「セキュリティ対策は万全か」「法改正に対応できるのか」といった不安を抱く担当者は少なくありません。特にマイナンバーや給与情報を扱う人事部門では、新しいツール導入に慎重な姿勢が見られます。

しかし、適切な対策を講じることで導入リスクは十分にコントロール可能です。重要なのは、懸念を踏まえた設計と運用を行うことです。

本章では、RPA活用にあたって想定される主な懸念と、その具体的な対策についてご紹介します。

RPA導入で失敗しないためのポイントについては、以下の関連記事も参考にしてください。

【関連記事】RPA失敗の落とし穴はどこ?原因と成功への秘訣を事例で解説

マイナンバー等の機密情報・個人情報保護の対策

人事業務ではマイナンバーや給与情報などの機密情報を扱うため、RPA導入時には操作可能な担当者を限定するアクセス権限の設定が不可欠です。
加えて、多要素認証(MFA)に対応したRPAツールを活用することで不正ログインやなりすましのリスクを低減できます。

さらに、実行ログを適切に管理すれば、操作履歴を追跡できるため、万が一トラブルが発生した場合でも原因の特定と迅速な対策が可能です。

法改正によるシステム改修への柔軟な対応方法

人事領域では、社会保険料率の改定や労働関連法規の変更など制度改正が頻繁に発生します。

RPAの運用を外部ベンダーに任せきりにしている場合、法改正のたびに改修依頼や見積取得、スケジュール調整が必要となり、修正完了まで時間を要することがあります。
期限が迫る中で対応を待つ状況は、業務遅延や現場の負担増大につながりかねません。

現場担当者が自らシナリオを修正できるRPAツールを選ぶことで、法改正への対応スピードを高めることができます。
内製化できる運用環境を整えることで、ブラックボックス化を防ぎ、変化にも柔軟に対応できる組織づくりにつながります。

 

 

人事部門でRPA導入を成功させるための5つのステップ

RPAの必要性を感じていても何から着手すべきか分からないという声も多く聞かれます。導入を成功させるには、ツール選定だけでなく、導入後の定着や運用体制の構築まで見据えて進める必要があります。

本章では、人事部門でRPA導入を成功させるための5つのステップをご紹介します。
現在どの段階にいるのかを確認し、実行可能なステップから着手していきましょう。

Step1:業務棚卸しで「自動化の費用対効果」を可視化する

いきなりツール選定に進むのではなく、まず現状業務の棚卸しを行うことが重要です。
人事・総務業務を洗い出し、作業時間と発生頻度を書き出すことで、自動化による削減効果を具体的に試算できます。

たとえば、勤怠入力漏れの確認に1日1時間かかっている場合、月20時間、年間では240時間に相当します。

このように工数を可視化することで、どの業務から自動化すべきかや、費用対効果は見込めるか、といった判断を客観的に行うことが可能になります。

業務内容 1回あたり時間 頻度 月間工数 年間工数
勤怠入力漏れ確認 1時間 毎日(20日) 20時間 240時間
給与台帳作成 3時間 月1回 3時間 36時間

より具体的な業務選定のポイントについては、以下の資料で詳しく解説しています。
自社に適した自動化対象業務を明確にしたい方は、ぜひ参考にしてください。

▶資料ダウンロード:RPA化対象業務選定のポイントと業務可視化のメリットとは


Step2:現場担当者が「自分で直せる」ツールを選ぶ

RPAを定着させるには、IT部門に過度に依存しない運用体制を整えることが重要です。
軽微な修正のたびにIT部門へ依頼が必要では、対応に時間を要し、追加コストも発生します。

特に法改正や業務変更が発生した際に迅速に対応できなければ、実務へ影響が及ぶ可能性があります。

人事担当者が直感的に操作できるノーコード型ツールを選ぶことで、IT部門に頼らず部署内で運用できるだけでなく、現場主導で柔軟に改善を進めることが可能になります。
その結果、部署内に自動化の知見が蓄積され、次にどの業務を自動化できるかといった議論も生まれやすくなり、継続的な業務改善につながります。

Step3:給与・勤怠など「止まると困る業務」ほど慎重にテスト運用

給与計算や勤怠管理など、止まると業務に大きな影響を与える領域は慎重に進める必要があります。
最初から完全自動化すると、エラー発生時に原因特定が難しくなり、給与誤支給などのトラブルを招く恐れがあります。
まずは人手の処理とRPA処理を並行して実施し、結果が一致するかを確認しながら段階的に検証することが重要です。
一定期間テストを重ね、誤差や例外処理の有無を把握したうえで、本稼働へ移行すれば導入初期のリスクを抑えつつ安定運用につなげられます。

Step4:予期せぬエラーに備えた運用ルールと保守体制の構築

RPAは、対象システムの画面構成や操作手順が変更されると正常に動作しなくなる場合があります。

たとえば、採用システムのUI更新により入力項目の位置や名称が変更されると、処理が途中で停止する可能性があります。
トラブルに備え、RPA停止時は手動処理へ切り替えるなどの代替手順を事前に定めておくことが重要です。
また、エラー発生時の一次対応者や修正までの責任範囲を明確にしておくことで業務継続への影響を最小限に抑えられます。

Step5:成果を数値化し、他部署や総務のRPA活用へ横展開する

RPA導入によって削減できた時間やコストは数値化し、社内で共有することが重要です。
「月20時間削減」といった具体的な成果は、新しいツール導入に懸念を持つ社員への安心材料になります。
さらに、成功事例を他部署や総務部門へ共有することで、類似業務への横展開が進み、全社的な業務効率化やDX推進へと発展していきます。小さな成功を積み重ねることが、大きな組織変革への近道となります。

一方で、横展開が進むほど「シナリオの改修ルール」「保守・問い合わせ対応」「担当者育成」など、継続して使い続けるための体制づくりも欠かせません。内製化を前提にするなら、“継続するための体制”と“支援の使い方”まで考えておくと安心です。

内製化を進めるうえでの体制づくりや、支援サービスの活用ポイントを整理した記事もありますので、
あわせてご覧ください。

【あわせて読みたい】RPA内製化支援サービス5選!企業規模・業界別に最適な選び方を解説

 

 

 

人事・総務が失敗しないためのRPAツール選定3ポイント

RPAツールは数多く存在し、選定に悩む人事・総務担当者も少なくありません。

人事・総務部門が導入で失敗しないためには、以下の3点を重視することが重要です。

1.現場で使いこなせる操作性
2.法改正やセキュリティ要件への対応力
3.導入初期から導入後も継続的に支援を受けられる体制

価格や機能の豊富さだけで判断すると現場に定着しない可能性があるため、人事特有の業務特性を踏まえた視点でツールを選定しましょう。

プログラミング知識不要で「現場が使いこなせる」操作性

人事部門では必ずしもITに精通した人材が配置されているとは限らず、複雑なプログラミング知識を必要とするツールは活用が進まないケースがあります。
修正のたびにIT部門へ依頼が必要な環境では、業務効率化の効果が十分に発揮されません。

高度なプログラミング知識を必要としないツール、たとえば、ドラッグ&ドロップでシナリオを作成できるノーコードのRPAツールであれば、ITに詳しくない担当者でも現場で活用しやすくなります。

現場主導で内製化できる環境を整えることが、持続的な改善につながります。

人事特有の法改正・セキュリティ要件に対応できるか

人事部門では機密性の高いデータを扱うため、アクセス権限の設定や操作ログ管理機能が備わっているかを確認することが不可欠です。
セキュリティ対策の有無は、RPA選定時の重要な判断基準となります。
さらに、制度改正が頻繁に発生する人事部門では、計算ロジックや帳票の見直しが避けられません。

現場でシナリオ修正が可能なツールを選定することが、迅速な法改正対応と安定運用の鍵となります。

導入初期から安定稼働までを支えるサポート体制の有無

RPAは導入して終わりではなく、現場で定着し安定運用できて初めて効果を発揮します。

人事業務は制度や法改正の影響を受けやすいだけでなく、担当者の異動や業務変更によって運用が止まるリスクもあります。
人事実務を理解した担当者による導入支援や、操作トレーニングまで含めたサポート体制が整っているかを確認しましょう。
また、各ベンダーの公式サイトで人事・総務部門の導入事例や、お客様の声が公開されているかも有効な判断材料となります。
サポート体制の充実度は、導入後の定着や安定運用に直結するため選定時の重要な確認項目です。

 

 

まとめ:RPA事例を参考に人事業務の自動化で組織変革を

本記事では、人事・総務領域におけるRPA活用事例を紹介してきました。

生産年齢人口の減少や人手不足が進む中、限られた人数でバックオフィスを支える体制づくりは避けて通れません。

RPA導入は単なる業務効率化ではなく、定型業務を自動化し、人事部門が戦略立案や組織開発といった本来の役割へシフトするための重要な一歩です。

ヒューマンリソシアは、業務整理から内製化支援、教育プログラムまで、お客様の課題に寄り添い一貫して伴走支援いたします。

人事業務の自動化をご検討の際は、ぜひご相談ください。

 


【よくあるご質問】

RPA導入による人事・総務部門のメリット

Q. 人事・総務業務にRPAを導入することで、どのようなメリットが得られますか?

A: RPAによる業務自動化を進めることで定められたルールに基づいた正確な処理が可能となり、①人為的ミスの削減によるコンプライアンス強化、②定型業務の工数削減による生産性向上、③高付加価値業務へのシフトによる組織力・従業員満足度の向上が得られます。

RPAで自動化できる人事業務の具体例

Q. RPAを活用して自動化できる具体的な業務にはどのようなものがありますか?

A: 応募者情報の自動取得や管理表への転記、勤怠データと申請の不整合の自動抽出、未受診者への受診勧奨メールの自動送信などが可能です。

A: 入社予定者のリストを読み込み、勤怠管理システムや経費精算システム、社内ツールなどへ必要情報を順次登録する処理を自動化できます。

RPAが不得意とする業務範囲

Q. 人事業務において、RPAでは自動化できない、あるいは苦手な作業は何ですか?

 A: RPAは、判断や感情を伴う人事業務には適していません。また、想定外の例外対応や複雑な判断も定められたルールだけでは対応できません。

RPA導入を成功させるための進め方

Q. 人事部門でRPA導入を成功させるための最初のステップを教えてください。

A: まず現状業務の棚卸しを行うことが重要です。人事・総務業務を洗い出し、作業時間と発生頻度を書き出すことで、自動化による削減効果を具体的に試算できます。

失敗しないためのRPAツール選定基準

Q. 人事・総務担当者がRPAツールを選ぶ際に重視すべきポイントは何ですか?

A: 1.現場で使いこなせる操作性、2.法改正やセキュリティ要件への対応力、3.導入初期から導入後も継続的に支援を受けられる体制、の3点です。また、現場担当者が自らシナリオを修正できるRPAツールを選ぶことで、法改正への対応スピードを高めることができます。

 

 

本コラム内容について
各コラムの内容は、執筆時点での情報を元にしています。
製品バージョンアップなどにより、最新ではない場合がありますので、最新の情報は、各社の公式Webサイトなどを参考にすることをおすすめいたします。

各コラムの内容は、利用することによって生じたあらゆる不利益または損害に対して、
弊社では一切責任を負いかねます。
一つの参考としていただき、利用いただく際は、各社のルール・状況等に則りご活用いただけますと
幸いです。

※Microsoft、Windows、Excel は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※その他記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。

※出典:いちばんやさしいRPAの教本 人気講師が教える現場のための業務自動化ノウハウ(インプレス出版)をもとに作成