2025.09.16-
帳票処理やデータ入力など、紙を中心とした業務は時間がかかり、従業員の負担が大きくなりがちです。
2019年4月に施行された働き方改革関連法では、残業時間の上限規制などが導入され、人手不足の企業では業務効率化が急務となっています。その解決策として、定型業務を自動化できるRPAが注目されています。
さらに、2022年にOpenAIがChatGPTを公開して以降、生成AIの活用が加速し、データ分析や文書作成など、従来は人手が必要だった業務も効率化できるようになりました。
一方で、RPAとAIの違いや、どのように使い分ければよいのか分かりづらく、導入をためらう企業も少なくありません。
本記事では、それぞれの特性、適した業務の見極め方についてわかりやすく解説します。
さらに、両者を連携させた活用事例もご紹介し、業務の自動化を検討されている方に役立つ情報をお届けします。
目次
業務の効率化が求められる中、RPAとAIは注目されている技術です。
しかし、特徴や違い、実際の業務でどう使い分ければよいのか迷う方も多いでしょう。
本章では、RPAとAIの違いやそれぞれが得意とする業務をご紹介します。
RPA(Robotic Process Automation)は、人がパソコンで行っている定型業務をソフトウェアロボットが自動で実行する技術です。
たとえば、毎日同じようにExcelへ請求書の金額を転記したり、帳票を送信する業務などを自動化できます。
帝国データバンクの調査(2025年4月)では、正社員の人手不足を感じている企業は51.4%に上り、人材不足の長期化が懸念されていることがわかりました。
上記の背景を踏まえると、限られた人員でも効率的に業務を進める手段としてRPAは有効な解決策の一つといえます。
また、プログラミングの知識がなくても使えるツールも多く、現場レベルでも導入がしやすいことが特徴の一つです。
特に経理業務では、請求書処理などの単調な作業を自動化しやすく、コアな業務へ集中できるようになります。
出典:人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)
(https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250519-laborshortage202504/)
RPAの最大の特徴はルールに従った定型業務を自動化できることです。
また、RPAは操作環境や管理方法の違いによって、大きく3つの種類に分類されます。
RPAの種類 | 操作環境 | 特徴 |
デスクトップ型 | 各ユーザーのPC上で操作 | ・スモールスタートに適しており導入が比較的容易 ・現場の担当者レベルで管理が可能 ・比較的低コストで導入可能 |
サーバ型 | 組織のサーバ環境で操作 | ・ロボットの一括管理が可能で高速処理が可能で大量データ向き ・セキュリティ要件が高い業務に適している ・導入には一定のコストがかかる |
クラウド型 | クラウドサービス上で操作 | ・専用サーバの構築などが不要のため比較的初期コストが抑えやすい ・どこからでも利用可能 ・作業中PCを占拠しない |
このように、種類によって、操作環境や特徴に違いがあるため、自社で自動化したい業務の範囲や、勤務先のセキュリティ要件を満たしているかをあらかじめ確認しておくことが重要です。
加えて、実際に操作する従業員のITスキルも考慮し、無理なく扱えるツールかどうかを見極める必要があります。
RPAは、あらかじめ決められたルールに従って、同じ作業を正確に繰り返す業務の自動化を得意としています。
手順が決まっており、人の判断を必要としない定型業務で力を発揮します。
一方で、状況に応じた判断や柔軟な対応が求められる業務には不向きです。
RPAが得意なこと
・ルールが明確で繰り返しの多い業務
・決まったタイミングで実行するスケジュール処理
・データの転記や帳票の作成、保存などの定型処理
RPAが苦手なこと
・例外処理やイレギュラーなケースへの対応
・状況に応じた判断や優先順位の切り替え
・フォーマットの変更や入力ミスに対する柔軟な対応
まずは、自動化したい業務が定型的かどうかを見極めることが、RPA導入を成功させるための重要な一歩となります。
RPAは、業種を問わず、バックオフィスを中心とした幅広い業務の効率化に活用できます。
以下は、RPAを活用して自動化できる代表的な業務の一例です。
経理・総務・営業・人事など、部門を問わず共通して発生する業務を中心にご紹介します。
業務カテゴリ | 自動化できる内容 |
データ入力・転記 | 帳票やファイルから情報を抽出し、Excelやシステムへ自動転記 |
データ照合・チェック | 請求書・入金データ・発注書などを突合し、不一致やミスを自動で検出 |
定型レポート作成・集計 | 月次・週次などの報告書をテンプレートに沿って自動作成し、数値の集計やグラフ作成も可能 |
メールの自動送付 | 確認依頼・リマインド・通知などのメールを、定型文・宛先に基づいて自動送信 |
経費精算処理 | 申請内容の記載漏れや重複申請を自動でチェックし、承認フローを効率化 |
請求書の発行処理 | 顧客データや売上情報をもとに請求書を自動作成し、PDF変換・メール送信まで一括実行可能 |
このように、手順が明確で例外が少ない業務は、RPAとの親和性が高く、自動化による効果が出やすい分野です。
まずは、実際の業務の中で、時間を取られており、ルール化できる業務から自動化を進めることで、ヒューマンエラーの防止や作業時間の短縮が期待できます。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは、人間のように考えて判断する力をコンピュータに持たせる技術です。
たとえば、人が文章を読んで理解したり、質問に回答するなどの作業をAIが自動で処理することができます。
近年では、人手不足や業務効率化への関心が高まっており、困ったときにすぐ質問できたり、大量のデータから必要な情報を見つけ出せるといった点からAIへの注目が一段と高まっています。
顧客からの問い合わせ対応や市場データの分析といった作業がAIによって自動化されるケースも増えてきました。
これまで人が行っていた複雑な判断を伴う業務や分析も、AIの支援を受けることで、よりスピーディーかつ効率的に進められるようになるでしょう。
AIは、大量のデータをもとに、学習や推論を行い、判断を行って複雑な処理を実行できる技術です。
RPAが決められた手順を正確に繰り返すのが得意なのに対し、AIは状況に応じて柔軟に対応できる点が大きな特徴といえます。
AIは主に以下の4つのタイプに分類され、それぞれ異なる役割や用途があります。業務内容に応じて、適切なタイプを選択することが効果的な活用につながります。
種類 | 特徴 | 主な活用例 |
予測系AI | 過去のデータをもとに将来を予測する | 売上予測、需要予測、株価予測、気象予測 |
識別系AI | データのパターンを認識し、分類や 判定を行う |
画像認識、音声認識、スパムフィルター |
会話系AI | 人との自然な対話を実現する | チャットボット、生成AI、バーチャル秘書 |
実行系AI | 判断や制御を行い、具体的な動作を 実行する |
自動運転、ロボット制御、ゲームAI |
上記の4つのタイプは、それぞれ得意分野があり、目的や業務内容によって適したタイプは異なります。
業務内容や目的に応じて、どのようなタイプのAIが自社の課題に適しているかを見極めることが、効果的な活用の第一歩となるでしょう。
AIを業務に活用する上で、どのような作業がAIに向いていて、どのような作業は人の判断が必要になるのか判断が難しいという方もいるかもしれません。
AIの特性をより理解するために、得意なことと苦手なことを整理してみましょう。
AIが得意なこと
・大量のデータからパターンを学習・分析し、将来の傾向を予測する
・定型的なルールに沿った判断や情報の分類・整理を行う
・書類やテキストの内容を読み取り指定の形式に変換する処理
一方で、柔軟な対応や感情の理解が求められる業務には、まだ課題が残されています。
AIが苦手なこと
・前例のないケースや曖昧な指示への対応
・感情や文脈を読み取って言葉を調整するような配慮が必要な対応
・勘や経験が求められる判断
AIには得意・不得意があるため、導入時にはどの業務を任せ、どの部分を人が担うかという役割分担を見極めることが、業務効率化を成功させるポイントとなります。
データを読み取り状況を判断し、処理まで自動で行える点が大きな特徴です。
たとえば、以下のような業務はAIとの相性がよく、導入による効果が期待できます。
部門 | 業務例 | 自動化の内容 |
経理 | 請求書処理・仕訳入力 | 帳票やPDFから請求情報を読み取り、請求書処理・仕訳入力を自動化 |
総務・人事 | 経費申請チェック・勤怠データの確認 | 申請内容に誤りや重複がないかを自動でチェックし、勤怠データの集計も自動化 |
営業 | 顧客対応履歴の分析・見込み顧客の抽出 | 過去の商談・メール履歴をAIが分析し、受注確度の高いリードを自動でリスト化 |
カスタマーサポート | よくある問い合わせへのチャットボット対応 | 定型質問に対し、AIチャットボットが自動で応答 |
マーケティング | 顧客データ分析・キャンペーンの最適化 | 属性・行動履歴を分析し、AIが効果的な配信タイミングやコンテンツを提案 |
製造 | 品質検査・設備故障の予測 | センサーデータをもとに異常検知や故障の予兆をAIが判定し、対応を自動化 |
上記のような業務は、ルールが明確でデータ量も多いため、AIによる自動化に適しています。
まずは定型業務から活用することで、作業の正確性を保ちながら処理スピードの向上も実現できます。
ここまでRPAとAI、それぞれの特徴について解説してきました。どちらも業務自動化を実現する上で有力な技術ですが、それぞれ得意とする領域には明確な違いがあります。
RPAは、決められた手順を正確に繰り返す定型作業の自動化を得意としています。
たとえば、請求書に記載された金額をExcelへ転記するような処理が代表的です。
一方、AIは大量のデータをもとにパターンを抽出し、たとえば売上予測や顧客行動の分析を行うなど判断をともなう処理に強みがあります。
なお、技術の違いを考えるうえで、総務省の情報通信白書では、RPAの自動化レベルを次の3つのクラスに分類しています。
クラス | 自動化レベルの特徴 | 想定される業務例 | AIとの連携度合い |
クラス1 | 定型的なルールに基づく作業を自動化 | データ転記、定型フォーマットの帳票作成 | なし〜低 |
クラス2 | 非定型データや判断を含む処理を自動化 | PDFの読み取りをして基幹システム登録 | 中 |
クラス3 | 分析や意思決定まで自動で行う高度な自動化 | 売上予測、仕訳判断、在庫の需給予測 | 高 |
出典:総務省の情報通信白書 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)
(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html)
このように、自動化レベルの分類を見ることで、RPAは単純作業の自動化にとどまらず、AIとの組み合わせ次第で、対応可能な範囲を柔軟に広げられることがわかります。
RPAとAIの違いを正しく理解し、自社の業務がどのレベルに該当するかを見極めることが、最適なツール選定と業務改善の第一歩となるでしょう。
RPAの自動化レベルについてもっと知りたい
RPAの自動化レベルのより詳しい解説については RPAとは?初心者向けに事例・仕組み・導入手順を解説 でご紹介しています。
ぜひあわせてご覧ください。
業務の自動化を進める中で、RPAとAIのどちらを活用すべきか迷うことは少なくありません。
判断を誤ると、時間やコストをかけて導入しても、期待した効果が得られない可能性があります。
本章では、RPAとAIそれぞれに適した業務を見分けるための3つのポイントを、具体例を交えてご紹介します。
人手不足の中で業務の自動化を進めるにあたり、RPAとAIどちらを導入すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
まず注目すべきは、自動化したい作業が毎回同じような手順で処理できるかどうかです。
たとえば、システムへのデータ入力作業は、流れが決まっており、毎回同じ内容の繰り返しなので、RPAの得意分野です。
一方で、過去の売上データをもとに来月の売上を予測するような作業は、パターンの分析や判断が必要になるため、AIのほうが向いています。
以下の視点で整理すると、RPAとAIの使い分けがしやすくなります。
業務の定型性 | 適している技術 |
作業が毎回ほぼ同じな業務 | RPA |
人の判断が必要な業務 | AI |
上記のように、業務の定型性を見極めることで、RPAとAIのどちらが適しているかを判断しやすくなります。
RPAとAIのどちらを使えばよいか迷ったときは、『どのようなデータを扱っているか』と『データの量』に注目するのがポイントです。
たとえば、Excelの一覧表のように、項目が整理された構造化データを扱う業務で、データ量も多くない場合は、RPAの得意分野です。
一方で、PDFやメールの本文のように、文章や画像などが混在する非構造化データや、日々の処理件数が多い業務には、AIのほうが向いています。
たとえば、顧客からの問い合わせメールの内容を理解し、自動で適切な部署に振り分けるような処理もAIなら対応可能です。
RPAとAIの使い分けに迷った際は、以下の表を参考にしてください。
データの種類 |
データの量 | 適している技術 |
構造化データ(例:Excelの一覧表) | 少ない | RPA |
非構造化データ(例:PDF、メール本文) | 多い | AI |
上記のように、データの種類と量を基準にすることで、自社の業務にどちらが適しているかを見分けやすくなります。
請求書の金額が通常より高く、誤りがないかを確認するような業務は、状況に応じた判断や過去データの学習が求められるため、AIの得意分野です。
一方で、処理手順が毎回決まっており、同じ作業を繰り返す定型業務であれば、RPAが得意とする分野です。
以下に、業務内容ごとに適した技術とその理由をまとめました。
自動化対象の作業内容 | 適している技術 | 適している理由 |
登録データのルールチェックやリストアップなどの定型処理 | RPA | 決まったルールに沿って毎回同じ処理ができるため |
過去の取引データをもとに支払遅延の可能性を予測 | AI | 学習・分析をもとに判断する業務に強いため |
業務の中に人の判断や学習が必要な場面があるかを見極めることが、RPAとAIを適切に選ぶカギになります。
業務によってRPAとAIのどちらを使うべきかを見極めることは重要ですが、両者を組み合わせて活用することで、処理と判断の両方を自動化でき、対応可能な業務領域が大きく広がります。
本章では、RPAとAIを組み合わせることによって得られる具体的なメリットや、実際の活用シーンを取り上げていきます。
RPAとAIの組み合わせによって、定型業務にとどまらず、分析や判断を含む業務まで自動化することが可能です。
たとえば、RPAが業務データを自動収集し、AIがその内容を分析・可視化することで、これまで担当者に依存していた判断業務の一部を仕組み化できます。
この結果、属人化の解消や判断スピードの向上などが期待できます。
また、仕入れ先の見直しやコスト削減、人材の離職予測など、部門を横断した戦略的な意思決定を支援する基盤としても活用できるでしょう。
RPAとAIを組み合わせることで従来は人の経験や勘に頼っていた判断業務も自動化が可能です。
たとえば、以下のような流れで意思決定を支援できます。
① RPAが業務システムから履歴データ(例:売上・入金・対応履歴など)を自動で収集
② AIが傾向を分析し、リスクや予兆を予測
(例:支払い遅延、顧客離反、人材の退職予測など)
③ AIの予測結果に基づき、あらかじめ設定したルールに従ってRPAが対応すべき案件を抽出・メール等で通知し、担当部門へ共有
※なお、通知・共有の方法は各社の利用環境や要件によって最適なものが異なるため、事前に確認が必要です。
上記のように、AIによる将来予測とRPAによる通知・処理の連携により、データに基づいた客観的な判断が可能になることで、より精度の高い対応や、早期のリスク回避が実現できます。
RPAによって売上データの収集や集計を自動化すれば、日々の業務負担を大きく軽減できます。
しかし、「なぜ売上が下がったのか」や「今後どのような対策が必要か」といった分析や予測は、依然として人に依存しているケースが少なくありません。
そこで、RPAとAIを連携させることで、RPAがデータを収集し、AIがその内容を分析・可視化する仕組みを構築することが可能です。
データの傾向や要因の把握を自動化できるため、業務の精度とスピードが大きく向上します。
さらに、来月の売上予測といった将来を見据えた情報も取得できることから、会議での意思決定も迅速かつ的確に行えるようになります。
RPAとAIの組み合わせは単なる業務効率化にとどまらず、蓄積されたデータを活用して新たな価値を創出できる点が大きな強みです。
RPAとAIを組み合わせることで、作業の効率化だけでなく、判断が必要な業務まで自動化できるようになります。
しかし、実際にどのような業務で活用できるのかイメージが湧かず、導入に踏み切れないという声も少なくありません。
本章では、RPAとAIの連携によって実現できる自動化事例をご紹介します。
「どこにどう活用できるのか?」と悩まれている方は、ぜひ以下の事例を参考にしてください。
さまざまな部門で紙の帳票や書類(請求書・申込書・注文書など)を扱う業務は依然多く、帳票を目視で確認し、システムへ手入力する作業は、時間がかかる上にミスが起きやすいという課題があります。
RPAとAI-OCRを組み合わせることで、紙帳票をスキャンするだけで、データ化からシステム登録までをほぼ人手を介さず自動化することが可能になりました。
以下は、実際の導入プロセスの一例です。
・ステップ1:RPAが複数フォーマットの紙帳票を自動でAI-OCRにアップロード
・ステップ2:AI-OCRが帳票を自動で仕分けし、帳票内容を読み取り、CSVデータを作成
(確認・修正のみ人が実施)
・ステップ3:完成したCSVデータをAI-OCRから自動でダウンロード(目視チェック不要)
・ステップ4:RPAがCSVを基幹システムへ自動登録
上記のようにRPAとAIを組み合わせることで、紙業務の大幅な効率化が実現しました。
本事例の詳細は以下のホワイトペーパーでご紹介しています。
RPA×AI-OCRによる業務自動化に関心のある方はぜひご覧ください。
「RPAから見えてきた課題を解決!
~業務効率化を促進する、AI-OCR×RPA連携導入事例のご紹介~」
法制度の改正、業界のトレンド、市場動向など、日々チェックすべき情報は増え続けています。
一方で日々の業務に追われながら最新ニュースを確認し、内容を整理する時間を確保するのは簡単ではありません。こうした課題を解消するのが、RPAと生成AIを組み合わせた情報収集の自動化です。
以下は、導入イメージの一例です。
・ステップ1:RPAがあらかじめ指定された情報ソースの更新を定期的に確認
・ステップ2:生成AIが取得したテキストを解析し要点を抽出・要約
・ステップ3:RPAが要約結果を共通ツールやメールで自動配信
上記のような仕組みにより、重要情報の見落とし防止や、会議前の準備負担軽減が期待できます。制度改正の多い経理部門をはじめ、営業、人事、広報など幅広い業務で活用が可能です。
RPAと生成AIの組み合わせは、今後の情報収集の在り方を変える大きな一歩になるでしょう。
製造や小売、物流、調達などの現場では、需要予測と在庫調整の精度が業務の成否を左右します。
しかし、担当者の経験や勘に依存していると、ロスや対応のバラつきが発生しやすくなります。
そこで注目されているのが、RPAと予測AIを組み合わせた需要予測と自動化の仕組みです。
以下は、導入イメージの一例です。
・ステップ1:RPAが、過去の受注・在庫データを基幹システムから自動収集
・ステップ2:予測AIがデータを分析し、将来の需要を予測
・ステップ3:予測結果に基づき、RPAが発注数量の調整や通知を実施
この仕組みを効果的に機能させるには、AIが高精度な予測を行うための学習材料として、過去の受注・在庫に関する大量の実績データが不可欠です。ステップ1でRPAがデータを集め続けることで、AIの予測精度も継続的に向上していきます。
これにより、従来は属人化していた判断業務をデータに基づいた安定的な運用に変えられます。
売れ残りや欠品といったロスを最小限に抑えられるほか、業務の標準化が進むことで誰でも対応できる仕組みが整い、引き継ぎの負担軽減にもつながります。
本記事では以下のことをご紹介しました。
1.RPAとAIは得意分野が違う
(RPAは「手順通りの定型業務」、AIは「データに基づく判断業務」)
2.RPAとAIのどちらが適しているか、業務を見分けるポイント
(「定型性」「扱うデータ」「柔軟性」の3つのポイント)
3.両者を組み合わせることで自動化の範囲は大きく広がる
(定型的な作業+判断・分析を連携させる活用事例)
バックオフィス業務を中心に、RPAやAIの導入は着実に進みつつあります。
ただし、すべての業務を自動化できるわけではありません。
それぞれの技術の特徴を理解し、適切に使い分けることが重要です。
RPAは、決まったルールが明確で繰り返し作業が多い定型業務の自動化に向いており、人的ミスの削減や作業時間の短縮に効果的です。
一方、AIは大量のデータをもとに分析や予測を行うといった処理に強く、従来は人にしかできなかった対応の一部を自動化できます。
このように、RPAとAIは競合する存在ではなく、それぞれの得意分野を補完し合う関係です。
自社の業務特性に合わせて組み合わせて活用することで、より実用的で効果的な業務改善が実現できます。
ヒューマンリソシアはお客様が抱えるお悩み・課題毎にRPAやAIなどさまざまなサービス・製品をご提案いたします。
業務自動化をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
【よくあるご質問】
Q. RPAとAIの主な違いは何ですか?
A: RPAは、人がPCで行うデータ入力などの定型業務を、決められたルール通りに自動化する技術です。
A: AIは、データをもとに自ら学習・推論し、売上予測など状況に応じた判断や柔軟な対応ができる技術です。
Q. RPAとAIは、それぞれどのような業務の自動化に適していますか?
A: RPAは、データ入力や帳票作成など、手順が明確で人の判断を必要としない定型業務の自動化に適しています。
A: AIは、問い合わせへの自動応答やデータ分析、需要予測など、状況に応じた判断や分析が必要な業務に適しています。
Q. RPAとAIを組み合わせて使うと、どのようなメリットがありますか?
A: RPAとAIを組み合わせることで、定型業務だけでなく、分析や判断を含むより広範囲の業務まで自動化できるようになります。
A: 担当者の経験や勘に頼っていた判断業務を仕組み化できるため、属人化の解消や判断スピードの向上が期待できます。
Q. RPAとAIを連携させると、具体的にどのような業務を自動化できますか?
A: RPAとAI-OCRを連携させ、紙の請求書などを読み取ってデータ化し、システムへ自動登録できます。
A: RPAと生成AIを使い、あらかじめ指定された情報ソースの更新を定期的に確認、その後取得したテキストを解析し要点を抽出・要約し、関係者へ自動でメール配信することも可能です。
本コラム内容について
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弊社では一切責任を負いかねます。
一つの参考としていただき、利用いただく際は、各社のルール・状況等に則りご活用いただけますと
幸いです。
出典:いちばんやさしいRPAの教本 人気講師が教える現場のための業務自動化ノウハウ(インプレス出版)もとに作成
出典:図解まるわかり AIのしくみ(翔泳社)もとに作成