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スマート自治体を実現したRPA導入事例3選|RPA活用のメリットや失敗しないための注意点を解説

作成者: ヒューマンリソシア編集チーム|Jun 21, 2024 12:43:18 AM
 

人口減少が深刻化する中、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供し、住民福祉の水準を維持する「スマート自治体」への転換が求められています。
企業だけでなく、自治体においても業務の効率化・自動化・標準化が必要な時代となりました。

このような状況下で、業務の自動化を可能にする「RPAツール」が自治体で注目を集め、全国各地で広く利用されています。

本コラムでは、スマート自治体を実現するRPA導入事例や、自治体がRPAを活用するメリットをご紹介します。

また、RPAに適した自治体業務や導入に失敗しないための注意点も解説しますので、これから自治体でRPA導入を検討している方は、ぜひご覧ください。    

 



目次

 

 

 

RPAが注目されている理由|自治体が抱えている課題

現在、多くの自治体は手作業による煩雑な業務やデータ管理など、さまざまな課題に直面しています。
これらの業務では、人的ミスや業務の遅延が起こりやすく、行政サービスの質を低下させる要因となっています。

こうした問題を解決するため、自治体はRPAの導入を積極的に検討しています。

自治体が抱えている課題


自治体が抱えている課題はさまざまです。

・労働人口の減少
・様々な住民サービスへの対応
・業務の煩雑化 など

さらに、自治体では紙ベースの業務が根強く残っており、デジタル化が進まずに非効率な業務を続けているケースもあります。これらの課題を解決するためには、業務の根本的な見直しと新たな技術・手法の導入が不可欠です。

自治体でのRPA導入状況(総務省データ)


総務省の調査によると、自治体におけるRPAの導入は着実に進んでいます。
令和4年度には、RPAを導入済みの都道府県が平成30年度と比べて約3倍の94%に達し、この数年でRPAが自治体に広く浸透していることがわかります。



さらに、市区町村でもRPAの実証や導入の検討が約67%まで進んでおり、自治体におけるRPAの取り組みが全国に広がっていることがうかがえます。

 

 

 

RPA活用による自治体の4つのメリット

自治体がRPAを活用することで、さまざまなメリットがあります。
業務効率化やコスト削減、サービスの迅速化、人的ミスの防止、人手不足への対応など、RPAの活用は「スマート自治体」の実現に導きます。

自治体がRPAを活用することで、どのようなメリットがあるのか、具体的に解説します。

1.業務効率化とコスト削減


自治体の業務をRPAで自動化することで、業務効率化が実現します。
例えば、書類の作成やデータの入力などの定型作業をRPAで自動化することで、職員は「人でしかできない重要な業務」「住民とのコミュニケーションが必要な業務」に時間を割くことができます。

これにより、自治体の業務効率が向上し、行政サービスの提供コストも削減されます。

2.サービスの迅速化と住民満足度の向上


RPAによる業務の自動化は、サービス提供の迅速化につながります。
手作業に比べて処理時間が短縮されるため、住民からの要望や問い合わせに迅速かつ正確に対応できます。

例えば、自治体窓口での手続きや申請にかかる時間が短縮され、住民はよりスムーズなサービスを受けられます。その結果、住民の満足度が向上し、地域社会全体の信頼も高まります。

3.人的ミスの防止


RPAを活用することで、人的ミスの防止に繋がります。
自治体では、小さなミスが大きな問題に発展してしまうケースがあるかと思います。

人間が行う業務には、単純なミスが生じる可能性がありますが、RPAは事前に指定した通りに処理を行うため、誤った情報や処理ミスが発生するリスクを低減し、行政サービスの品質が向上します。

4.人手不足による負担の軽減


人口減少や人手不足が深刻化し、自治体では業務の負担が増えています。
しかし、RPAの導入により、業務の自動化や効率化が実現されるため、人手不足による負担を軽減することが可能です。

RPAの活用により、自治体の業務が効率化され、負担が軽減されることで、職員のモチベーションや働きやすさも向上し、地域社会全体の発展にも繋がります。

 

 

RPAに適した自治体の業務

RPAは、どんな業務でも自動化できるわけではありません。
RPAに適した業務を自動化しないと効果を実感できないことが多いため、自動化する業務の選定は慎重に行う必要があります。

【RPAに適していない業務】
・人の判断が必要な業務
・イレギュラーな対応が必要な業務
・複雑なプロセスの業務 など

以下は、RPAが有用である自治体の業務をご紹介いたします。

データ入力・登録業務


自治体では、住民登録情報や税金情報など、さまざまなデータの入力やシステムへの登録業務が多いと思います。

単純作業だけど量が多くて時間がかかりやすい業務ですが、繰り返し行う作業は、まさにRPAに適していると言えます。人が長時間、同じ作業を繰り返し行うとヒューマンエラーが発生する可能性がありますが、RPAなら正確かつ長時間の作業が可能です。


データの確認・照合業務


自治体は住民の個人情報などを扱っているため、データの確認・照合する作業は、正確性が求められる重要な業務かと思います。しかし、限られた人員・時間で正確に行うにはプレッシャーが伴い、ヒューマンエラーが発生するリスクもあります。

RPAなら事前に定めたルールに基づいて、細かいデータの照合作業を確実かつ迅速に行うことが可能です。

データ集計業務


自治体では日々、様々な申請書や書類が届きます。集められた膨大なデータを統合し、分析や報告書を作成するのは、大変な時間と労力がかかるかと思います。

RPAは、複数のアプリケーションを横断した作業が可能なため、異なるシステムやファイルにあるデータを収集し、集計することが可能です。
また、WEBサイトなどから欲しい情報を集めるといったこともできます。

問い合わせ・案内業務


自治体では、住民からのさまざまなお問い合わせがあるかと思います。
インターネットからのお問い合わせについても、RPAを活用して一部の作業を補助できます。
よくあるお問い合わせには、定型文でRPAに対応させることで職員の負担を軽減できます。

また、特定の住民への通知や案内をする際も、RPAを利用してシステムから対象者のデータを抽出し、 加工して宛名を作成することが可能です。

 

 

 

 

スマート自治体を実現したRPA導入・活用事例3選

自治体では、RPAを活用してさまざまな業務を自動化しています。
ここでは、自治体がどのようにRPAを活用してスマート自治体を実現しているのか、具体的な事例を   3つご紹介します。

実際の事例を知ることで、RPAの活用イメージが湧いてくるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

事例① 大阪府大東市


大阪府大東市では、庁内外から受信したメールの収受処理等の作業を自動化しました。

【RPAでの作業手順】

■システムでの文書収受
1.メールに添付されているファイル(文書)をダウンロードする
2.文書を文書管理・電子決裁システムで収受(文書番号の採番)する

■文書を保存用フォルダに格納
1.ダウンロードしたファイルの名称を保存管理用の名称に変更する
2.変更したファイルを任意のフォルダに格納する

文書の収受処理やファイルの格納は、短期的かつ頻度の高い作業ですが、複数のシステム操作やデータ移動が必要であり、ダウンロードの待機時間も発生し、非効率でした。

しかし、これらの作業をRPAで自動化することで作業時間が削減され、職員でしか対応できない業務に人員を注力することが可能となりました。

現在は、庁内の一部の課でのみテスト運用しています。今後は、利用課からの意見をもとに改善を行い、正式に全庁的に利用できるようにしていく予定です。

また、1つの業務を自動化することで別の業務のRPAの活用についても前向きな発想に繋がり、庁内へのRPAの展開が加速しました。

事例② 東京都東村山市


東京都東村山市の課税課では、次の3つの業務をRPAで自動化しました。

  1. 課税課使用システムのエラーチェック業務
    年間6000件のエラーチェック作業が発生しており、相当な時間が費やされていましたが、RPAの導入により、作業時間が約50%削減されました。

  2. 住民の軽自動車の新規登録業務
    これまで手動で行われていた登録作業をRPAで一部自動化したことで、作業時間が約75%削減されました。

  3. 課税課使用システムのデータ入力作業
    システム(税務LAN)へのデータ入力作業が自動化され、約200時間かかっていた作業時間が半減しました。

事例③ 大阪府守口市


大阪府守口市では、財務会計システムの支出命令書作成業務をRPAで自動化しました。
この作業自体は単純な入力作業でしたが、件数が多く、月に20時間もの作業が発生していました。

そこで、AI-OCRと連携することで、手作業が必要だった情報をデータ化し、RPAを実現しました。

【作業手順】

  1. 請求書を受領
  2. 請求書をスキャン
  3. AI-OCRで読み込み
  4. RPAで財務会計システムへ自動入力して印刷
  5. 入力内容を確認

この結果、作業時間が大幅に削減されました。
また、単純作業をロボットに任せることで、職員は人間にしかできない業務に集中する時間を確保できるようになりました。

今後も少しずつ自動化業務を増やし、RPAの利点を庁内に広めていく予定です。

 

 

自治体でのRPA導入を失敗しないための5つの注意点とは?

RPAを導入しても「うまく活用できずに使われなくなってしまった」というケースは、自治体だけでなく一般企業でもよく見られます。

RPA導入を失敗しないためには、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?
ここでは、そのための5つの注意点をご紹介します。

1.導入スケジュールの策定


RPAを導入する前に、導入の目的を明確にし、スケジュールをしっかりと策定しましょう。
導入の目的が「上層部の指示」や「なんとなく使ってみたい」といった曖昧な理由では、失敗するケースが多いです。

導入によって何を実現したいのかを明確にし、その目的を導入計画のメンバーで共有することで、方向性がぶれず、プロジェクトをより効果的に進行させることができます。

また、業務の特性や規模に合わせて段階的に計画を進めることで、スムーズにRPAの導入を進めることができます。

【RPA導入スケジュールの例】

  1. 導入目的の明確化
  2. 自動化対象業務の選定
  3. 導入体制の整備
  4. 業務の可視化と自動化範囲の決定
  5. RPAの開発とテスト
  6. 本番運用
  7. 効果の検証
  8. 運用ルールの策定

2.RPAツールの選定は慎重に行う


RPAツールはそれぞれ、価格、利用形態、扱いやすさなどが異なります。まず、RPAを導入する際は、RPAツールの選定を慎重に行いましょう。

自治体の業務ニーズ、予算、セキュリティ要件などを考慮し、総合的に判断する必要があります。また、ツールによってはプログラミング知識が必要なものもあります。現場でRPAを開発する場合、職員の学習コストが発生する可能性があるため、初心者でも扱いやすいツールがおすすめです。

RPAツールの選定にお悩みの方へ

種類が多くてどんなRPAツールがあるのか分からないという方は、本コラムの別記事にある人気RPAツールの比較5選をご覧ください。
人気RPAツールの機能や違い、比較のポイントなどをご紹介しています。

【RPA徹底比較5選】機能や違いを徹底解説
記事はこちら

3.セキュリティ対策の重要性


自治体では住民の個人情報を多く取り扱っているため、RPA導入においてセキュリティは最重要事項の 一つです。情報漏洩や不正アクセスを防ぐために、万全の対策が必要です。

RPAを扱う職員にも、適切なセキュリティ教育を行う必要があります。
情報漏洩リスクを考慮し、ファイルの添付や非公開情報のRPAによる外部へのメール送信はおすすめ  しません。

セキュリティ対策を徹底し、情報漏洩やセキュリティ侵害のリスクを最小限に抑えましょう。

4.RPAの作業手順書を作成する


RPAがどのように作業をしているのか、手順書を作成しておくことが重要です。

手順書がない場合、RPA担当者が異動や退職をした際に、業務の引き継ぎがうまくいかず、作業がブラックボックス化してしまう恐れがあります。
RPAの設計書や作業手順書を用意しておけば、業務手順やシステムに変更があってもスムーズに対応できます。

RPAの導入は一度限りの作業ではなく、継続的な運用と改善が必要です。
RPA担当者が変わった場合でもスムーズに業務を引き継ぎ、継続して運用できるように環境を整えておきましょう。これにより、安定したRPA運用が実現できます。

5.小さくスタートして徐々に広げていく


いきなり大規模な業務や複雑なプロセスを自動化するのはおすすめしません。
まずは小規模な業務や簡単な業務から自動化し、システムの安定稼働や効果を検証しながら、段階的に導入範囲を広げていくと良いでしょう。

少しずつRPAの範囲を広げていくことで、リスクを最小限に抑えながら着実な効果を生み出すことができます。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
本コラムでは、以下の内容をご紹介しました。

  • RPA活用による自治体の4つのメリット
  • RPAに適した自治体の業務
  • スマート自治体を実現したRPA導入事例
  • 自治体でのRPA導入を失敗しないための5つの注意点

自治体の業務改善は、職員の負担軽減やコスト削減だけでなく、人的ミスの減少や業務の生産性向上を実現します。これにより、自治体全体の運営効率が向上し、迅速な住民サービスの提供が可能となります。結果として、住民満足度の向上にも繋がるでしょう。

「スマート自治体」を実現する選択肢の一つとして、RPAを検討してみてはいかがでしょうか。

RPAツールについて


本コラムでご紹介した自治体様の事例は、RPAツール「WinActor」を使用しています。

WinActorは、国内で圧倒的な人気を誇る、純国産RPAツールです。
直感的な操作で業務自動化のシナリオを開発でき、プログラミング知識のない方でも活用可能です。

ヒューマンリソシアでは、「Work Innovation」をミッションに、「WinActor」の導入から活用までを総合的に支援しています。WinActorの操作研修、シナリオ作成、技術サポートなど、トータルでサポートが可能です。

お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

本コラム内容について
各コラムの内容は、執筆時点での情報を元にしています。
各コラムの内容は、利用することによって生じたあらゆる不利益または損害に対して、弊社では一切責任を負いかねます。
一つの参考としていただき、利用いただく際は、各社のルール・状況等に則りご活用いただけますと
幸いです。

※「WinActor®」は、NTTアドバンステクノロジ株式会社の登録商標です。

出展:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」